アンリセット#3 ただ、会ってみたかった

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(前回のあらすじ)
迷いの中で精霊から
「大きな一歩だったか、何も歩いてなかったか 決めるのは後の自分」
と贈られ、一莉はゼロではなかったと気づき前に進む。

(本編)
大学時代進まない日々を、ただ繰り返していた。
そんななか、ふと思い出した。
講義の帰りに一言くれたあの人。
「話すの、向いてるかもね」――それだけだったのに。
ずっと忘れていたはずだったのに、その言葉だけは残っていた。
たぶんそれが、今も私を支えてる。
直接会って、もう一度聞きたくなった。
今どうしてるのか、検索して調べた。
思ったより近くで活動していた。
プロみたいな人たちに囲まれて、やっぱりすごいと感じた。
「ご無沙汰してます」
SNSのメッセージ欄に、やっと文字を打った。
数時間後に返って言葉から、あの頃と変わらない温度が感じられた。
小さなカフェのテーブル越し。
「久しぶりだね」
彼女が差し出した名刺を、そっと受け取る。
その肩書きを、今、見ようとしている――
名刺の上に書かれていた言葉──

「誰にでも同じテンポで受け止める人」

その下に、名前。「仁科 想(にしな そう)」
思わず口にする。「これ…肩書き、ですか?」
一莉がその意味を尋ねると、彼女は静かに答えた。
「そう。相手の心がほぐれるように、テンポを変えず話す」
「焦ってる時ほど、言葉は走る。だからこそ私は変えない」
一莉は名刺を受け取った。小さく息を呑み、その肩書きに目を落とす。
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