アンリセット#2 再生の瞬間

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(前回までのあらすじ)
就職に失敗し、嘘を重ねていた奏一莉は、自分の無力さに苦しんでいた。そんな彼女は
「迷うなら、一つの事へ気持ちが分かるまで動く」
という精霊からの言葉に背中を押され、「地域 空き家 若者」と検索を始めた。

(本編)
検索に没頭した頭を冷やそうと夜のコンビニの前で、缶コーヒーを握りながらふと考える。
「これを仕事にできるのか」と。「自分にできるのか」と。
一莉の視線の先には、学生時代のバイト先があった。
「何も変わってないな…私」
口から漏れた言葉に、自分で驚く。窓から見えるバイトの後輩たちが眩しく映った。
でも、そう思った瞬間に——そう思えるくらいには、今の自分が見えてるってことだ。数日前の一莉なら、そんな風に言い訳すらできなかった。
「ねえ……今の私に、もう一回、言葉をちょうだい」
空に向かって、ためらいながらも口にする。一度届いたものは、きっともう一度来てくれると信じて。
精霊が差し出すものに、一莉は目を向けた。
言葉に触れる、ほんの一歩手前で、彼女は深く息を吸い込んだ。

「大きな一歩だったか、何も歩いてなかったか
決めるのは後の自分」

精霊はそっと、一莉に言葉を贈った。
聞いた瞬間、一莉は息をのんだ。
何も言えなくて、ただ目を伏せる。
そうだ。動いてもなかった。
でも、ゼロじゃなかった。
それだけで、胸が少しだけ軽くなる。
小さく笑って、歩き出す。
答えはなくてもいい。
いまはただ、少しだけまっすぐになれた気がした。
風の音だけが、静かに背中を押していた。
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