【正しいモニター環境とは】
今回はミックスのモニター環境についてお話しようと思います。
正しいモニタリングは正確な処理を可能にし、クオリティと効率を大幅にアップさせます。
音をモニタリングするためのデバイスは大きく分けてスピーカーとヘッドホンに分かれます。この記事をご覧になっている方の中には、住環境などの問題から主にヘッドホンを使用している方も多いと思います。
それで全く問題ないのですが、ヘッドホンでのミックスには弱点があります。ヘッドホンでのモニターとスピーカーでのモニターの特徴を把握して上手に使い分ける必要があります。
まず、ヘッドホンの特徴は左右のチャンネルの音がそれぞれダイレクトに左右の耳に届くということです。右にフルパンした音は左の耳には届きません。このことによるメリットは細かい音まではっきりと聴こえるということに尽きますが、これはデメリットにもなり得ます。
全ての音がはっきりと聴こえるため、音の大小の判断がしにくいのです。音の大小の判断がしにくいということは、音の奥行も見えづらいということにつながります。これはミックスにおいては致命的な欠点です。
一方でスピーカーはヘッドホンに比べ音の細部は見えづらいですが、音(帯域)の大小や奥行の判断がつきやすいです。(音の細部は見えづらいと書きましたが、高品質なスピーカーや適切なルームチューニングを施した環境があればそれは当てはまりません。実際ほとんどのプロのエンジニアはスピーカーで作業しています。)
では、具体的にどういったモニター環境を用意すべきか、というところに話を移します。
まず、大前提としてスピーカーとヘッドホンどちらも用意すべきでしょう。ノイズ処理をはじめとするエディットや、リバーブを細部まで作りこむ場合などではヘッドホン。フェーダーバランスやリバーブへの送り量を決定するのはスピーカーというように自分なりの使い分け方を見つけましょう。
どんなデバイスを選ぶかですが、”モニター”と名の付くものなら、まずはなんでもいいと思います。
大切なのは、自分のモニター環境に慣れるということです。結局は正確な物差しになれば、1万円のスピーカーでもいいのです。自分のミックスとプロのミックスを聴き比べてみましょう。誤解を恐れずに言えば、要は同じように聴こえるようにすればいいんです。それがまず初めのステップになるでしょう。
【おすすめのデバイス】
いいデバイスと環境はより正確な物差しになります。あるデバイスではわからなかったことが、あるデバイスでは手に取るようにわかる、そういったことも起こり得ます。
しかしながら、ルームチューニングが不十分な6畳間に高価で大出力なスピーカーを導入しても全く真価は発揮できませんので、自分の環境にあったクラスの製品を選択することが大切です。
低予算ならYAMAHA MSP3もしくはHS5、もう少し出せるならMSP5を選んでおけばまず間違いはおこらないと思います。
ヘッドホンで言えば有名なものはSONYの900STですが、ミックス用途であればおすすめしません。スピーカーが5インチ以下のサイズでは低域の再生力に限界があるため、しっかり低域が鳴るヘッドホンで補うことをお勧めします。
低予算ならAudioTechnicaのATH-M40、もう少し出せるならYAMAHAのHPH-MT8がお勧めです。
ルームチューニングに関して、安価で手に入るウレタン素材の吸音材でもフラッターエコーなどを抑えることは可能ですが、低域のトラップには厚手のロックウールなどそれなりの質量と密度を持った吸音材が必要になります。繰り返しになりますが、自分の環境にあった製品を選択することが大切です。小型スピーカーで小音量で作業すれば部屋の影響は最小限に抑えることができますので、まずは過度に気にする必要はありません。