今回からはミックスの流れに沿って具体的な手順やテクニックをを紹介していきたいと思います。
プロジェクトに音声データを読み込む
録音に使用したオケとボーカルを読み込みます。しかしその前に、プロジェクトのテンプレートを用意しましょう。
ミックスにある程度慣れてくると、自分の定番のエフェクトチェーンやマスターエフェクト、センドエフェクトなどが決まってくるでしょう。それを予めテンプレートとして保存して使用しましょう。エフェクトトラック(AUXトラック)などを一から用意しプラグインをセッティングするのは非常に手間がかかります。もちろんオケのトラックやボーカルのトラックにも、予め使用するプラグインをインサートしておきます。余計な作業時間を減らすことで、クリエイティブな作業に集中できます。
テンプレートに音源を読み込む際、サンプリングレートとビットデプス、BPMをしっかり確認しましょう。BPMは設定しておくと、タイミング補正やテンポ同期のディレイを使う際などに役立ちます(というか必須です)ので必ず設定しておきましょう。
また、本家のデータもリファレンスとして読み込んでおきます。ミキサーの右側に固定しておくと便利です。音源がない場合はy〇utubeからダウンロードしましょう。
下ごしらえ①(ノイズ処理)
大前提としてノイズが乗らないように録るのが一番ですが、防ぎきれないノイズをここで処理します。ノイズ除去はソフトを使わない処理方法もありますが、iZotope社のRXを使用するのが主流となっています。
ノイズには大きく分けて二種類あり、断続的なノイズと連続的なノイズがあります。断続的なノイズとしてリップノイズやポップノイズがありますが、これらは殆ど音質に影響を与えることなく処理することが可能です。
「サー」という連続的なノイズに関しては、処理を行うと膜一枚被せたような好ましくない音質変化が必ず起こります。仮ミックスした上でオケと合わせてみてノイズが目立たないようであれば、処理しない、もしくはオケが静かでノイズが目立つ部分だけを処理するという選択肢もあることを忘れてはいけません。
無音部分の除去に関しては手作業で行ってもよいですが、ゲートをかけておけば十分です。神経質になる必要はありません。
下ごしらえ②(ゲイン調整)
ここでのゲイン調整の意味合いは、これから様々なエフェクトをかけていくにあたっての不都合を解消する目的があります。
上の画像の上の波形はゲイン調整前のボーカルの波形で、下の波形はゲイン調整後の波形です。クリップゲインで調整しています。
見ておわかりの通り音量をざっくり均一化していますが、この処理はボーカルのダイナミクスを最大限活かす必要のある曲であればしないこともあります。
これはボーカルのダイナミクスが大き過ぎると歪み系プラグインを使用した際に大きいところだけ歪みすぎてしまったり、コンプを使用した際はコンプによるパンチの付き方にムラが出てしまうのを防ぐ目的で行います。
この後ピッチ補正やタイミング補正などを行いますが、今回は割愛します。
ボーカルのルーティングについて
ペイントクオリティの図をお許しください。曲によって変わりますが、私は概ね上の図のようなルーティングを使用しています。言葉で言うと、まずメインボーカルのトラックからDryに出力、DryからCompにプリフェーダーでセンド、DryとCompからVoMstに出力、その後必要に応じてVoFXを経由してマスターに出力といったルーティングです。
各チャンネルの役割ですが、Dryはソフトなコンプ感のナチュラルなサウンド、Compはハードなコンプ感のパンチが効いたサウンド、それらを任意の割合でミックスした後の処理とフェーダーによる音量調整を行うVoMst、フィルターやボコーダーなど特殊な加工を行うためのVoFXです。
このようなルーティングにするメリットとして
・メインボーカルのトラックが複数に及ぶ場合でも統合する手間が省ける
・どんなコンプでもパラレルコンプレッションを適用できる
・1チャンネル当たりのインサートエフェクトの数を減らせるためミキサーの 視認性を確保できる
などが挙げられます。
次回は各チャンネル上での処理について解説したいと思います。
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