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近づけない人には、理由がある

五月に入って、山の斜面がじわりと赤く染まりはじめる頃がある。 シャクナゲが咲く季節だ。 あの花を初めてちゃんと見たとき、正直、圧倒された。派手でもなく、かといって控えめでもなく、ただそこにある、という存在感。うつむきかけた顔で、でも誰かの視線をしっかり受け止めているような咲き方をする。貴婦人のドレスに例えられるのが、なんとなくわかる気がした。 シャクナゲの花言葉は「荘厳」「威厳」「警戒」という。 荘厳と威厳は、あの花姿から来ている。あの凛とした美しさが、そのまま言葉になったのだろう。 「警戒」は少し意外に思うかもしれない。でも由来を知ると、納得がいく。ヒマラヤの高山に咲くシャクナゲは、葉に毒を持っている。険しい山を登ってでも手に入れたいほど美しいのに、近づくには命がけだった。だからこそ「警戒」という言葉が添えられた。美しさの裏に、近づかせない何かがある。その緊張感が、花言葉になった。 この話を聞いて、ふと思う。 人間関係も、似たような構造があると思うんですよね。 近づきたい相手がいる。でもなぜか一歩踏み出せない。なんとなく警戒してしまう。あるいは逆に、自分が相手にとってそういう存在になっているのかもしれない。美しいのに、近づきにくい。そんな関係の中で、どうしたらいいかわからなくなる。 あなたにも、そういう経験がありますか。 少し前に、こんな相談があった。 三十代の女性で、職場で気になる人ができたという。一年ほど同じ部署にいるのに、どうしてもその人の本音が読めない。優しくしてくれるときもあれば、突然距離を置かれる。自分の何かがいけないのか、それとも相手に事情があるのか、ずっと考え
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