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【小説】かつて竜になりたかった少女が見た夢

出品しているテキストサービス、小説のサンプルテキストになります。〈プロローグ〉  お嬢さん、また来たのかね。人気のない山道を若い娘一人で行くのは危ないだろうに。一体何故ここへ来るのかい。  ――この湖の景色が、あまりにも綺麗だったから。そしてもう一度、あなたに会いたいと思ったのです。  ……ふむ。確かにここの景色は美しい。しかし、私に会いたいと思うのは、おかしな理由だね。人間にはよく嫌われているから。何せ見ての通り、私は竜だ。私たちは人間に害を及ぼす存在として認識されている。なのにどうして私に会いたいと思うのか……。  そんな風に言われると、思い出してしまうよ。過去に君のような娘が、私に会いに、ここに来た日があったことを。記憶が綻びて、彼女の顔も名前も、はっきりとは思い出せないが、今思うと、本当に君にそっくりだったような気がするよ。ここに来たついでに、お嬢さん。この長生きな竜の話をひとつ聞いていってはくれないか。 〈起〉  あの少女に初めて出会った頃は、今よりも、もっと自然が豊かだった。まだ山の切り崩しも少なかったし、人間の文化の発展も緩やかで、人と自然とが上手く住み分けられていた。とはいえ、文明がこれから発展していく予兆もあったがね。そのことに関して、私自身は、先のことを憂いながらも、時代が進む流れに身を任せるように暮らしていた。人が山を崩して手に入れたとはいえ、葡萄畑は美しく、私のお気に入りでもあった。  あの日、私は湖の底で居眠りをしていたのだが、湖の近くで生き物の気配を感じ、目を覚ました。たとえ眠っていようとも、ここは我が城。どんなに小さな生き物の息遣いでも、竜は感じ取
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