第2話|「嫌いな人はあなたの鏡?」――その教えの危うさ
『占いやスピリチュアルに傷ついた私へ ― 依存の構造をほどく15の視点』第2話
「嫌いな人は、あなたの内側を映している」
「その人にイラッとするのは、自分の影を見ているから」
「相手の中に見るものは、すべて自分の投影」
スピリチュアルや心理学の場ではよく聞く言葉。
実際、この理論で“気づき”を得る人もいます。
でも私は、あるときから違和感を感じ始めました。
「これは、自己否定を生む言葉にもなりうる」と。
「嫌い」が生まれる理由は、一つじゃない
誰かを苦手に思う。嫌悪感を抱く。関わりたくないと感じる。
それは、あなたの感覚が正常に働いている証拠です。
すべてが“自分の影”だと思い込むと、
その違和感を感じた自分の感性を、否定してしまう。
「相手じゃなくて、自分の問題なんだ」
「私の中に悪い部分があるから反応するんだ」
――こうして、気づかないうちに、
自己否定のスパイラルに落ちていく人が本当に多いのです。
距離を取ることは、“魂の尊厳”を守ること
占いやスピリチュアルの中には、
「すべては学び」「すべては気づきのため」と言って、
どんな人間関係にも“意味”を求めようとする傾向があります。
でも、明らかに暴力的だったり、コントロールしてくる相手に対して、
「それもあなたの内側の投影です」と言うことが、正義でしょうか?
私は、そうは思いません。
魂には、守られるべき尊厳があります。
違和感を感じたら、まず距離を取る。
“感情を正当化せず、でも無視しない”。
それが、自己信頼の再スタートになります。
投影理論は「使う側の成熟」が必要
「人は鏡」理論が機能するのは、あくまで自己探求の道具
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