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宇佐見りん『推し、燃ゆ』講評例#4

① バイト先での働きぶりを描写する際、句点を打つべきところで読点を打ち、一方で読点を打つべきところで打たない。その効果について。 バイト先で次々と情報や動作が重なっていく場面では、句点で情報を確定させず、また読点を置ける箇所でもあえて境界を弱めることで、主人公が周囲の情報を十分に処理できないまま右往左往している感覚が、文体そのものに移されているように読める。 その中で「お酒が入ることで油を差したように口が回る人なのだろう」(51 頁)だけは、相手の性質を一歩引いて分析する文章になっており、前後に比べて主人公の認知が急に冷静になる。この一文だけ語りの速度・距離が変わって見える。主人公の混乱を文体的に持続させることを優先するなら、削除あるいはより即時的な知覚へ置き換える余地がある。② 推しの人気投票をテレビで見ているところ、母親が用事を頼まれ、テレビを見ることの緊張を描かなかったことについて。 人気投票の結果を待つ主人公の緊張を直接描写するのではなく、途中に母親から頼まれた用事を挿入し、戻ったときにはすでに「5位」という結果が出ている。この構成によって、本来ならクライマックスになり得る順位発表の「過程」が意図的に欠落する。主人公が見届けられなかった時間を読者も経験できないのである。 同時に、主人公にとって重大な「推し」の世界へ、母親の「いい加減にしなさい」(65頁)に象徴される日常生活が容赦なく割り込んでくる。結果として「5位」は劇的に到達する数字ではなく、主人公の知らないところで決定されてしまった事実として突然現れる。ここには、推しに強く感情を寄せながら、その世界そのものには介入
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