あの日への時間旅行
恋が終わりかけていることに、自分だけが気づいてしまう瞬間があります。連絡が少なくなった。会える日が減った。以前なら笑ってくれたことにも、なんとなく反応が薄くなった。はっきり「終わり」と言われたわけではないのに、心のどこかでは、「もう前と同じには戻れないのかもしれない」と気づいている。そんなとき、周りの人は励ましてくれます。「もっといい人がいるよ」「そんな人、忘れちゃいなよ」「次に行ったほうがいいよ」きっと、元気になってほしくて言ってくれているんですよね。でも、そんな言葉を聞けば聞くほど、「あの人以上の人なんて、もう現れない」と思ってしまうことがあります。だって、自分が好きだったのは、世の中にいる「もっといい誰か」ではなく、その人だったのだから。声も。笑い方も。何気なく言ってくれた言葉も。一緒に歩いた道も。くだらないことで笑った時間も。自分だけが知っている、ちょっとした癖も。全部ひっくるめて、その人が好きだった。だから、「もっといい人がいるよ」と言われても、今はそんな人に会いたいわけじゃない。その人に会いたい。その人と、もう一度笑いたい。そう思ってしまうのは、おかしなことではありません。恋が終わりかけているとき、人の世界はとても小さくなることがあります。いつもなら楽しいことにも興味がわかない。誰かと会う気にもならない。未来のことなんて考えられない。頭の中には、その人との思い出ばかりが浮かんでくる。でも私は、そんな小さな世界を、無理に広げなくてもいいと思うのです。しばらくは、その小さな世界にいてもいい。楽しかった日のことを思い出したり。もらったプレゼントを眺めたり。昔の写真を見たり
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