恋日記 第6話
ただ、名前を呼びたくなる日があります。用事があるわけじゃないのに。何かを頼みたいわけでもないのに。ただ、ふと、好きな人の名前を口にしたくなる。「ねぇ」そう呼ぶと、「なに?」って、彼がこっちを見る。その瞬間、少しだけ恥ずかしくなって、「ううん、ただ呼びたかっただけ」そう答える。彼は少しだけ笑って、「なにそれ」って言う。本当に、何でもない会話です。特別な言葉をもらったわけでもない。甘い約束をしたわけでもない。ただ名前を呼んで、ただ返事をしてくれただけ。それなのに、心がふわっとあたたかくなることがあります。恋って、大きな出来事ばかりじゃないんですよね。好きって言われた日。手をつないだ日。会えた日。もちろん、そういう日も嬉しい。でもそれと同じくらい、何でもない瞬間に幸せを感じることがあります。隣にいる彼の名前を、小さな声で呼べること。呼んだら、ちゃんと振り向いてくれること。その何気なさが、すごく愛おしく感じる日があります。名前って、不思議です。他の人が呼んでも何でもないのに、好きな人の名前になると、それだけで少し特別になる。文字で見るだけで、心が反応してしまったり。声に出すだけで、少し近くに感じたり。何度も呼んでいるはずなのに、そのたびに少しだけ照れてしまったり。恋をしている時の心は、本当に小さなことで動きます。ただ隣にいるだけで嬉しい。ただ返事をしてくれるだけで嬉しい。ただ笑ってくれるだけで、今日が少し優しくなる。そんな日があるんです。今日は、用事もないのに名前を呼んでしまった自分を、少しだけ可愛いなと思いました。好きな人の名前を呼びたくなるくらい、心がその人を近くに感じていたんだと
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