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叶った願いを、見落としていた。

街を歩いていると、仲の良さそうな夫婦やカップルを見かけることがあります。そんな時、「いいなぁ。」「私には、あれがない。」そう思ってしまうことはありませんか?誰かが隣にいてくれたら安心できる。誰かが私を選んでくれたら幸せになれる。私もずっと、そんなふうに思っていました。でも、ある日ふと気づいたんです。「私、ないものばかり見て、悲劇の主人公を演じようとしてるのかも」と。パートナーがいない。家族がいない。頼れる人がいない。そんなふうに「ないもの」を数え始めると、今ここにあるものが、まるで見えなくなってしまいます。一人で好きな場所へ旅行に行けること。自分のペースで暮らせること。誰にも気を遣わず、好きな時間に眠って、好きなことに挑戦できること。実は昔の私は、「こんな自由な暮らしができたらいいな。」そう願っていました。なのに、その願いが叶った途端、今度は「パートナーがいない。」という新しい不足を探し始めていたんです。しかも、別に欲しかったわけでもないのに。人の心って、本当に不思議です。手に入っていないものは輝いて見えて、手に入ったものは、あっという間に当たり前になる。だから、ときどき自分に聞いてみたい。「私は、本当に不足の中にいるの?」それとも、「もう、望んでいた世界の中にいるの?」その問いを自分に向けた時、私は気づきました。安心は、誰かが運んできてくれるものじゃなかった。ずっと、自分の足元にあったんです。幸せは未来からやって来るものではなく、今ここにあるものに気づいた瞬間から、静かに始まっているのかもしれません。
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