夜に読む、恋の記憶 第3話
彼に会えるのは、いつも夜でした。仕事が終わったあと。友達との予定が終わったあと。街の灯りが少し静かになった頃。「今から少し会える?」そのLINEが来ると、私はいつも急いで支度をしました。本当はもう部屋着だった日も。お風呂に入ったあとだった日も。明日が早いとわかっていた日も。それでも、彼に会えるならと思って、鏡の前に立ちました。駅前のコンビニで待ち合わせをして、少しだけ歩いて、たわいもない話をして。彼は優しかったです。寒くない?眠くない?無理してない?そう聞いてくれるたびに、大切にされているような気がしました。でも、私は一度だけ聞いたことがあります。「今度、お昼に会えたりする?」彼は少しだけ笑って、「うん、今度ね」と言いました。その「今度」が、私はすごく嬉しかった。昼間に会えるなら、ちゃんとした約束みたいで。誰かに隠れているわけじゃないって、思える気がして。でも、その今度は来ませんでした。会えるのは、やっぱり夜だけ。彼からのLINEは、いつも急でした。「今日、会える?」そのたびに私は、予定をずらしたり、眠気を我慢したり、少しだけ無理をしました。嫌じゃなかったんです。好きだったから。会えるだけで嬉しかったから。でも、帰り道になると、いつも少しだけ寂しくなりました。楽しかったはずなのに、胸の奥がすうっと冷えるような感じがしました。私は彼の夜には入れていたけれど、彼の毎日には入れていなかったのかもしれません。そんなことを思ってしまう自分が、少し嫌でした。ある夜、彼からまたLINEが来ました。「今から会える?」私は画面を見たまま、しばらく動けませんでした。会いたい。すごく会いたい。でも、
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