【第二十三話】 戸籍のその先へ
郷土史の中で、先祖の名前を見つけたとき。それまで戸籍の中で見ていた「名前」とは、少し違って見えました。その人は、この土地で船を造り、海へ送り出していました。船大工の銀蔵。さらに調べていくと、その船がよく寄港していた場所として、岩手の釜石という港の名前も出てきました。小田原から釜石まで。「こんな遠くまで?」最初はそう思いました。けれど昔の海の道は、今の私たちが思っているよりずっと広くつながっていたのかもしれません。戸籍をたどると、名前がつながります。郷土史を読むと、その人の姿が少し見えてきます。そして、ふと気づくことがあります。自分は、この先祖たちの選択のつながりの中にいるのだということに。船を造る船大工。人の暮らしを支える仕事です。形は違いますが、今の自分も人の暮らしに関わる仕事をしています。行政書士という仕事です。この調査をしているとき、ふと、そんなことを思いました。「この道でよかったのかもしれない」少し大げさかもしれません。けれど、戸籍をたどり、土地の歴史を読み、先祖の痕跡を追っていくうちに、自分がどこから来たのかを、少しだけ理解できた気がしたのです。そして、もう一つ。先祖調査という体験は、ただ昔を調べるだけではなく、今の自分を見つめ直す時間にもなっていました。最初は、ただ戸籍を取っただけでした。けれど、名前を追い、土地を調べ、昔の暮らしを知っていくうちに、戸籍の中の文字だった先祖が、少しずつ「生きていた人」として見えてくるようになりました。もし今、「自分の先祖を少し調べてみたい」そう思っている方がいるなら、最初は、戸籍を一通取ってみるだけでも十分だと思います。そこから先に
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