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その人に惹かれているのか、誘惑されているのかわからない

五月の風が柔らかくなってきたころ、りんごの花が咲く。白くて小さな花びらが、枝いっぱいに広がる様子は、どこか儚くて、それでいてひっそりと強い。こんなに静かな花が、秋になればあの真っ赤な実をつけるのかと思うと、不思議な気持ちになる。りんごの花言葉は「名声」と「選ばれた恋」。「名声」の由来は、スイスの英雄ウィリアム・テルの伝説から来ている。息子の頭に乗せたりんごを、遠くから矢で見事に射抜いたという話だ。一発の矢に、すべてを賭けた。その胆力と精度が、後世まで語り継がれる名声を生んだのだと思う。「選ばれた恋」のほうは、ギリシャ神話の「パリスの審判」が由来になっている。三人の女神のうち、もっとも美しい者に黄金のりんごを贈るという話。パリスが選んだのは、愛と美の女神アフロディテ。そのりんごを受け取ることが、「選ばれた」ということだった。そしてりんごの実には「誘惑」という花言葉がある。旧約聖書のアダムとイブの物語が由来で、禁断の果実として知られるあのりんごだ。名声、選ばれた恋、そして誘惑。三つの言葉が揃うと、なんとなく恋愛の複雑さがそのまま描かれているような気がする。誰かに選ばれたい、でも本当に選ばれているのかわからない。惹かれているのか、誘惑されているだけなのか、自分でも境界線が見えなくなってくることがある。あなたにも、そういう経験があるだろうか。好きな人がいる。でも相手の気持ちがどこにあるのか、つかめない。LINEの返信のたびに一喜一憂して、気づけば自分が消耗している。誰かに話したくても、複雑すぎて言葉にならない。そういう状態が、もう何週間も、あるいは何ヶ月も続いているかもしれない。少し前
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