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高倉健について

背中で生きるということ─ お竜と健さんが立っている場所 ──お竜さんが黙って立っていた場所と、高倉健が黙って立っていた場所は、実は同じところでした。そこは、「言い訳が通らない場所」。「誇りだけが残る場所」。「生き方が、そのまま人柄になる場所」。お竜さんは、多くを語りませんでした。健さんも、多くを語りませんでした。でも二人は、一度も姿勢を崩しませんでした。お竜さんの世界では、一枚の証文が命より重い意味を持っていました。健さんの世界でも、一度口にした言葉は、生き方そのものになっていきました。契約が“条件”に変わり、約束が“書類”に変わり、誇りが“効率”に飲み込まれていく時代の中で。あの二人は、最後まで「人としての姿勢」を、売りませんでした。だから私たちは、あの背中を忘れられない。強かったからではない。勝ったからでもない。有名だったからでもない。“人として、美しかった”からです。お竜さんは、自分の運命を引き受けて、静かに歩いていきました。健さんも、自分の人生を引き受けて、静かに歩いていきました。どちらも、「生き方」そのものが、物語でした。
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