実録:愛と現実に揺れた“彼ら”の話《Satoshi's Logic》
第2話──『俺は、間違っていなかった…はずだった』寝室の電気を消して、天井を見つめる。仕事の通知、ニュース、株価、YouTubeのおすすめ。どれも、どうでもいい。画面を消して、天井を見る。静かだ。静かすぎる。本来、家庭とは“休める場所”のはずなのに、なぜか、ここでは心だけがずっと起きている。この家は、相変わらず“機能的”だ。けれど――なぜか、胸の奥が落ち着かない。「今日も遅くなるから」陽菜はそう言って、夜に家を開ける日が増えた。俺が何をしているのか?と聞いても、「友達と食事よ」とか、「今、会社が忙しくて結構残業多いのよね」とか、なんだかんだ理由をつけて家にいない時間が増えている。だが、俺もその言葉を魔に受けるほど馬鹿じゃない。俺と妻との間に、『確実に何かが起きている』だが、それが何なのか?何が起きているのか?俺には全く分からない。俺は、間違っていない。論理的に考えれば、俺は正しい。役割分担も、収入も、生活水準も、すべて成立している。……なのに。ふと、頭に浮かんだ。「ありがとうって、言う事はそんなに難しいこと?」陽菜はそう言った。同じようなことを会社の同期や上司にも言われた。俺は、会社で部下に言われたいだろうか?「ありがとう」「助かりました」「あなたがいてよかったです」……正直、悪い気はしない。むしろ、それがあるから、また次も頑張ろうと思えるのかもしれない。じゃあ――俺は妻にそれを渡さなかった?「感情労働はコストだ」そう思っていた。だが本当は、“感情を渡す勇気”がなかっただけじゃないのか。今の俺はこう思っている。稼げなくなる自分。弱さを見せる自分。必要とされなくなる自分。それらす
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