副業を、家族に言えなかった夜に。
「副業を、始めたんだ」
その一言が、どうしても言えない。
家族にも。
会社にも。
・・・あなたにも、
心当たり、ありませんか。
夜中、家族が寝静まってから、
そっと、パソコンを開く。
物音を立てないように。
画面の明るさを、いちばん暗くして。
「何してるの?」と聞かれたら、
「ちょっと、調べもの」と、ごまかして。
・・・悪いことなんて、
何ひとつ、していないのに。
なんだか、後ろめたい。
なぜ、言えないんでしょうね。
「どうせ続かない」と思われそう。
「そんな暇があるなら」と言われそう。
笑われそう。
心配されそう。
・・・結局、ぜんぶ、
「反対されるのが、こわい」。
応援してほしいだけなのに、ね。
ここで、私の話を、少しだけ。
私は若いころ、
会社に勤めながら、劇団をやっていました。
脚本を書いて、演出して、舞台に立つ。
・・・どう考えても、
会社員の「ついで」でやれる量じゃ、ない。
ふつうなら、隠しますよね。
バレないように、こっそり。
でも私は、逆のことをしました。
ある日、社長室のドアを、ノックしたんです。
・・・心臓が、口から出そうでした。
「劇団を、やらせてください」
そう、正面から、頼みに行ったんです。
「会社の仕事は、絶対に手を抜きません。
でも、舞台も、どうしても、やりたいんです」
しばらく、沈黙がありました。
・・・長い、長い、数秒。
そして、社長は、こう言いました。
「いいよ。やってみろ」
・・・でも、話は、ここで終わりません。
社長は、許してくれただけじゃ、なかった。
公演の日。
奥さんと、三人のお子さんを連れて、
ちゃんと、チケットを買って、
私の舞台
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