「...このまま、終わりたくない」
美咲は、パソコンの画面を前に、そっと手を止めていました。途中まで作成された企画書。やらなきゃ、と頭ではわかっているのに、なぜか体が動かない。やる気も知識もあるはずなのに、不思議なほど指先がキーボードを叩きません。窓の外には、冷たい月の光。その光に照らされて、心の奥から小さな声がこぼれました。「...このまま、終わりたくない」思い返せば、美咲にはこんな夜が何度も訪れていました。やっと変われたはずなのに、いつの間にか元の自分に戻ってしまう。それは、努力が足りないわけでも、意志が弱いせいでもない。そう頭ではわかっていても、胸の中にはどうしようもない重さがありました。そんなある日、友人とのお茶の時間。美咲の悩みを静かに聞いていた友人が、ふっと言いました。「それってね、心の奥に"叶わない前提"があるからかもしれないよ」美咲は聞き返しました。「叶わない前提?」友人は笑って、こう続けました。「私もそうだったの。何度も挑戦しては戻ってしまって。でも、あるきっかけで、"できないのが当たり前"っていう設定がスッと外れたの」友人の言葉を胸に、美咲は、深く自分の内側へ降りていく時間を持ちました。そこで出会ったのは、いつの間にか心の奥に住みついていた小さな「無理」という声でした。その声は、美咲が過去に経験した小さな挫折や、誰かの何気ない一言から生まれた、まるで古い呪文のようなもの。やがて、その声はほどけるように、静かに消えていきました。代わりに残ったのは、根拠はないけれど、確かにそこにある温かい感覚。「...できる」その感覚は、まるで自分の心にやさしく寄り添ってくれる光のようでした。その夜、美咲は机に戻
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