選ばなかった気持ちの行き先
選ばなかった気持ちの行き先この時期になると、選ばなかった気持ちが、静かに増えていきます。渡さなかった言葉。聞かなかった答え。踏み出さなかった一歩。それは、勇気がなかったからだけではなく、「今じゃない」と感じた感覚を信じた結果かもしれません。若い頃は、どう思われるかが気になって、気持ちよりも空気を選びがちです。大人になると、今さら変えられない、という思いが同じように足を止めます。年齢は違っても、置いていく感情の形は、驚くほど似ています。選ばなかった気持ちは、消えてしまったわけではありません。ただ、行き先を失って胸の奥に残っているだけ。この時期になぜか思い出す人がいたり、理由もなく気持ちが揺れる瞬間があるなら。それは、恋が戻ってきたのではなく、今のあなたの立ち位置が変わり始めている合図かもしれません。過去をやり直す必要はないし、答えを出さなくてもいい。ただ、どんな気持ちを自分が置いてきたのか。どんな感情に蓋をしてきたのか。一度、静かに見ておくだけでいい。人の流れは、動く前に必ず小さな違和感を残します。その違和感は、迷いではなく、方向を変える準備かもしれません。無理に動かなくていい。何かを証明しなくてもいい。今はただ、気持ちがどこに向かおうとしているのかを感じている時間です。必要なときに、またここを思い出してもらえたら。── 織葉
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