中立でいる

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一般的なコーチング関係ではコーチはどういう形であってもクライアントの行動の責任を取ることは困難です。ですからコーチング契約でも「クライアントは自身の行動の最終的な責任を負う」ということが明確に示されます。もともと責任がとれないわけですから、コーチが特定の立場に寄ったスタンスを取るというのはクライアントにとってはしばしば「大きなお世話」「いい迷惑」ということになりかねません。このため、コーチングではコーチ自身は「中立」を守るべきとされます。

では「中立である」とはどういうことでしょうか?
わかりやすい例としてスポーツ競技の審判の立場を挙げることができます。対戦しているどちらの選手やチームにも肩入れせず、まして加勢などせず、公平にルールを適用して判断する、という役割です。そのためには両者が同時によく見える位置にいて双方に等しく目配りをすることが必要です。

(行司の視点)
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一方、政治など物事を判断する、決定を下す、という場面を考えると、ともするとこの「どちらにも肩入れしない、片寄らない」ということと「真ん中あたり」というのを混同しがちです。

減税すべきか、すべきでないか
介護や医療といった社会福祉予算はより充実すべきか、抑制すべきか
難民の認定や移民の受け入れに対して寛容であるべきか、厳しくすべきか
などなど…
最近は政治で右・左という表現を聞くことが以前より少なくなったように思いますが、そのやや古典的な表現を借りれば
「右でも左でもなく…」という意味での中道、ほぼまんなかあたり
というのと、中立とは全く異なります。
いろんな意見を集めて、それに賛同する人の数を数えて、物の重心を求めるように「真ん中」を割り出したとしても、その「真ん中」が中立ということではありません。
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ある交流会で報道に携わっている人に
「中立とはどういうことですか?」
と尋ねたことがあります。その時に
「さまざまな立ち場の意見を尊重すること」
と即答されました。これはその方のような人々にとっては常識なのだと思いますがその時の私はとても新鮮に感じました。ちょうどその頃、地方自治体が公共施設の利用を特定の団体に対して制限する、しない、といった報道に接していたからかもしれません。

ライフコーチではコーチはクライアントの行動について会社の上司のような形で責任を取ることも、またなんらかの「ご褒美」についての権限を持つこともありません。それができない以上、その行動については常に中立であるべきです。

当たり前と思えるかもしれませんが、これを徹底するためには常に相当強く意識することが必要です。なぜならば、それは二つの方向からの誘惑にさらされているためです。

ライフコーチングでは「教え、導き、リーダーシップを発揮し、アドバイスする」ことは原則として避けらます。しかし、スポーツコーチングや組織内(ビジネス)コーチングなどのパフォーマンスコーチング(ライフコーチングと対比する場合の呼び方)ではこれらのことがむしろ基本であり、当然とされます。
「コーチングの源流」でも述べているように広い意味での「コーチング」全体の中でこうしたパフォーマンスコーチングが占める部分が小さくないため、コーチもクライアントも、ともすればそうした方向に魅力を感じてしまいがち、ということがあります。

もう一つはライフコーチングという枠組みで依頼されている課題にコーチ自身が知識や実績があって、自信がある分野と感じられる場合に陥りがちな誘惑です。得意分野のテーマについてコーチングをしているうちにいつの間にかコーチングのはずがティーチングやアドバイスを延々としてしまった、という苦い経験を持つコーチも少なくないと思います。

実際、クライアントさんから「コーチはどうしていますか?」というような軽い感じで質問されることはよくあり、それには率直に答えます。しかし、そのような場合であってもそれがベストであるとか、強いアドバイスと取られるような表現は極力避けるべきでしょう。あくまでも「個人的な一例に過ぎません」「選択肢の一つとして考えてください」という姿勢を崩さないことです。

そこを敢えて、ということであれば「本来の意味でのコーチングからは離れますがいいですか?」といった形でクライアントの承認を得て「ここはご参考に留めてくださいね」とはっきり示して「欄外コラム」「囲み記事」のような扱いで言及するのが無難です。

特にクライアントからの依頼内容が「ご相談」のような形で表現される時にはこの「中立」ということをいつも強く心に留めて臨むべきでしょう。
「答えはクライアントの中になる」という原則を離れることはコーチングがコーチングでなくなることになり、結果として特に自分で解決したい、自力で方向を見つけたい、と考えるクライアントさんからは歓迎されません。

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