50%自分原因説

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"100%自分原因説"というものが、一時期とても流行っていましたね。

これはどちらかというと"引き寄せの法則"等をわかりやすく解説する、スピリチュアル的な主張から生まれた言葉なので、意味合いはちょっと違うのかもしれませんが(でも「良いことも悪いことも"すべて"本人が引き寄せている」というのは、やっぱり逃げ道がなくてしんどい気がする)……良くも悪くもその人に降りかかるものは基本的に"自己責任"である、という考え方(自己責任論)が、最近の日本では随分苛烈に信仰されているなぁと思うのです。

私が一時期通っていた起業セミナーでも、「我が身に起きることの全ての責任は自分にある」と考え、想定外の出来事からもとにかく何かしらプラスの意義を見出すポジティブマインドを教わりましたし、私もその頃は「なるほど!」とヤル気に満ちていたものでした。

確かに道なき道を切り拓いてゆくには、受け身でいるばかりでは何も始まらないので、そのくらいのパワフルな考え方が理に適っていることも、とてもよく理解できます。

でも、"自己責任論"って、あくまで自らが信じて実行するのは良いとしても、他人に押し付けすぎてしまうのは非常に危険なものだと、昨今つくづく実感するのです。

それに……自分で実行し続けるにも、ずっとこればかりではきっと、ぶっちゃけ疲れちゃうんじゃないかなぁと思ったのでした(´-ω-`)(私が怠惰なだけかもしれないけど)

現在は新型コロナウイルスの感染拡大で世界中が混乱している状況ですが、その中で「感染は自己責任」と言い切ってしまう風潮も日本には一部あり、なんだか優しくないなぁと息苦しさを感じてしまいます。

今回のウイルスに関して言えば、どんなに丁寧に気を付けて生活しても、運悪く感染してしまうことはあるのです。


"自分ではどうにもできないこと"は、世界にはたくさんあるのだと思います。

「自分の人生においてはすべてを意のままにできる」と本気で考えているのであれば、少なくとも私には、それはちょっと傲慢なようにも思えます。

ただ、どんな環境や状況であっても、"自分にできること"もまた必ず、少しくらいはあるはずなのです。

(今回なら、マスク、手洗い、消毒、こまめな水分補給、換気、なるべく出歩かない、等々……)

この"自分にできる部分"を、誰かや社会や環境のせいにして動かずにいても、問題が解決することは、あまりないだろうと思います。

他人や、過去や、既にある事実は、自分で自由に動かせるものではありません。

それでも、自分の考えや行動、未来は、僅かなりとも変えてゆくことができるはずです。


……と、考えると、個人的には"50%自分原因説"くらいの気持ちでいるのが、前を向きながら息もしやすくて、私にはちょうど良いかなと現状思うのです。

(また数年後には考え方が変わるのかもしれないけど)

自分の心に無理を強いてまで、四六時中ポジティブでいたり、どうしても受け入れ難いことにまでプラスの意味付けをする必要は、必ずしもない。

だけど、何%が心地良いかは人それぞれ(100%が1番心地良いという方は、自身に対しては勿論それで良いと思いますし)、その時々の状況にもよるのかもしれなくても、少なくとも0%ではないんじゃないかなと。

「自分にできることが何ひとつもない」と考えてしまったら、それは自分の人生を他者に丸投げすることになってしまいます。


私がカウンセリングの勉強をしたカウンセラースクールでは、「人は"他者否定型"、"自己否定型"、"社会否定型"の3パターンの考え方を持っている」と教わりました(ご興味ある方は、石川千鶴先生の『人間関係の悩みをスッキリ解く 5つの公式』の書籍がわかりやすいのでオススメです(笑))。

このどれもが各々の人の中にあるけれど、どれが表出しやすいかの特徴が人それぞれにあって、これら3つの考えのバランスが取れていると、感じるストレスを減らすことができるというのです。

他者否定や社会否定に寄り過ぎている人はもう少し、"自分にできること"を探した方がきっとうまくいくし、自己否定に寄り過ぎている人はもう少し、"自分ではどうにもできないこと"を認めて手放した方がきっと楽になる。

自分の考え方にはどんな特徴があるのかを知っていると、少しだけ冷静に、物事を見ることができるようにもなります。

そしてまた、自分以外の人に対しても、何でもかんでも「自己責任でしょ」と容易く切り捨てずに、こちらからは見えない相手の事情を慮るだけの優しさを、できるだけ、忘れずに持っていたいものです。


「人事を尽くして天命を待つ」という言葉が、私は好きです。

自分が握っている側の50%でベストを尽くせれば、自分では動かせない側の50%も案外、そのうち味方になってくれるんじゃないかしら、とちょっぴり希望が持てる……そんな気がするのです(*^_^*)


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