みずほ銀行、事務員3000人を営業転換 23年度までに(日本経済新聞)

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2020年9月24日、日本経済新聞朝刊で「みずほ銀行、事務員3000人を営業転換 23年度までに」という記事が報じられました。

みずほ銀行は2023年度末までに、事務員のうち約3割の3千人程度を資産運用の相談を受け持つ営業に再配置する計画だ。口座開設や振り込みなど定型的な業務をデジタル化し、店舗の事務量を大幅に減らして捻出する。業務の効率化で経費削減と営業力の底上げを図る。
(日本経済新聞 2020年9月24日朝刊)
数年前から定型的な業務のデジタル化は各企業において劇的に進められており、事務作業量が大幅に削減されている現状があります。みずほ銀行においても同様で、業務効率化によるコスト削減と営業リソースの強化が図られています。
配置転換する事務員は研修を経てから資産形成や運用の相談といったコンサルティングを担う。引き続き事務を望む場合は店舗のほか、業務の処理や顧客からの問い合わせに対応する事務センターで勤務してもらう。みずほフィナンシャルグループは24年度末までに銀行と証券、信託銀行で全国130拠点を削減する方針だ。主に個人向けの金融取引を担う社内カンパニーは低収益の体質が定着しており、改善が急務になっている。
(日本経済新聞 2020年9月24日朝刊)
私は転職支援を生業としており、毎日2〜5人程度の求職者のご支援をしています。その中での体感の1つとして、事務職を希望される方が、求人数に対して圧倒的に多いことが挙げられます。

今回の日経新聞の記事のように事務職が減っている中で、事務職を希望する方は依然多い、というミスマッチが発生していると感じています。
そこで、今回の日経新聞の記事からの気づきや考えたことについてまとめていきます。

事務職の求人数ってどうなってるの

厚生労働省2020年6月発表の「職業別一般職業紹介状況[実数](常用(除パート))」のデータを見ると、事務的職業の有効求人倍率は全職種の中で最も低い0.31。コロナ影響のない2019年3月でも0.48で、同じく全職種の中で最も低い数値となっていました。

求人倍率0.31というのは、1人の求職者につき0.31社の求人数ということです。

全体の有効求人倍率の0.98と比較すると、事務職の有効求人倍率が圧倒的に低いことがわかります。なお、同データで有効求人倍率が高かったのは、保安職の6.1、建設・採掘職の5.26、サービス職の1.97となっています。

また有効求人倍率の0.98という全体求人状況を表す数値自体、コロナ影響もあり急速に悪化している現状があります。

202006.gif

(一般職業紹介状況(令和2年6月分)より引用)

今後もAIなどによる事務処理の効率化が予想され、事務職の求人倍率が大幅に上昇することは考えにくく、求人数自体がさらに減少することすら予想できます。

なぜ事務職に就きたいの

上記のような「事務職求人数<<<求職者」という状況の中で、なぜ事務職をやりたいかを伺うと、以下のような回答をいただくことが多いです。

・営業などは抵抗がある
・安定してそうだから
・事務の経験があるから
・資格がなくてもできそうだから
・資格があるから(ワープロ検定、MOS等)
・パソコンが好きだから
・土日休みだから
・残業が少なそう

求人市場と照らし合わせても色々と思うことはありますが、このような理由だと、「就職する」という点においてはなかなか厳しい現状があります。
(採用する側の企業に採用する理由がありません)

これから事務職はどうなるの

前述したように、AIなどによる事務処理の効率化により、事務職の求人数がさらに減少していくことが予想されます。

2014年、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏の論文『雇用の未来』が発表されましたが、そこには「95%以上の確率で10年後になくなるとされた仕事」に一般事務員も組み込まれていました。
2014年の10年後は2024年。2020年現在、「その未来」に向けて着々と求人数が減っているように、現状を捉えることもできます。

その中で自分たちはどうしていくか

それではどのように身を処していくのがよいのでしょうか。
私はその人にしかできない、また機械が代替しづらい、スキルや経験を得ていくことが重要だと考えています。

「その人にしかできない」仕事とは、専門性を指します。狭い領域であっても、専門性、独自性があれば他の人と差別化していくことができます。

また「機械が代替しづらい」仕事とは、「感情労働」を指します。人の思いや感情を受け止め、そこに応えていく仕事です。機械はルール化された作業は得意ですが、人の感情を感じ取ることはまだ苦手とされています。

とはいえ感情労働は、ストレスの多い職種とも言われています。看護師や介護士、ヘルプデスク、CAが典型です。また私も「ストレスの多い職に就いたほうがよい」という偏った考えを持っているわけではありません。
※もちろん、上記職種はストレスを上回る「やりがい」を得られる尊い職であり、世の中から必要とされている仕事である、という認識が大前提にあります。

私は毎日の仕事の中で、「今、たとえAIが導入されてもクビにならないよう、自分が出せる感情労働の価値はなんだろうか」と意識しておくことが重要だと考えています。これは全職種に共通して言えることです。

たとえば「クライアントの事情を把握し、事情に合わせた提案ができる営業」、「取引先状況を把握して、状況から鑑みてもっとも受け入れてもらいやすい見積もりが作れる事務」などでいられると、機械に代替されにくいと言えるのではないでしょうか。

こういった「その人ならでは」は、機械に代替は難しく、人間が必要です。またそういった仕事ができれば、機械に代替されない以上に、職場で重宝されることになるでしょう。どんな職に就いていたとしても、意識しておきたいことの1つです。


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