できればPMとしては顧客の要望をすべて受け入れたいです。しかしそれでは現場が疲弊しますし、利益貢献からも遠ざかる行為です。
今回は24年の経験の中で、SIerと事業会社の両方の立場を経験したからこそ見えるPMのスタンス・振る舞いについて語ります。(全3回を予定しています)
ポイント1:安定期と炎上期で「折衝のギア」を入れ替える
比較的安定している工程では「顧客ファースト」の精神で傾聴し、調和を重んじることが重要 。立ち上げ~要件定義前半までが妥当だと思います。別の記事でも語りますが、「要件定義の課題を次工程に持ち越す」という考えは炎上のきっかけになりますので、あくまで要件定義前半までのアイスブレイク完了までが安定期といってもよいと思います。
※受注時点で不利なこともしばしばあると思いますが、その場合は折衝するのに背負うものが文脈的には異なるので別の機会にお話ししたいと思います
そして一旦プロジェクトが火を吹き始めたら、原因を突き止める「冷徹さ」が必要です。自社に原因があるのか、あるいは顧客側であるのか。そこを突き留めずに活動していても対症療法にしかならずその場しのぎです。燃えたら原因の特定を急ぎます。
ポイント2:顧客側に原因がある時の「チェンジリクエスト」の出し方
結論は、理路整然を事実を集めてチェンジリクエストを上司・営業とともに顧客に提案する、です。(自分が職業PMの場合)
事実(ファクト)を集めるために議事録の作成とそれへの合意は必要になります。原則としてお金が動く契約絡みのプロジェクトであれば、エビデンスベースで進める必要があります。ウォーターフォールであればドキュメントが残し易いですが、アジャイルであっても合意形成の証跡を残していなければ後で負けます。
顧客に原因があるのに顧客がごねる→自社として受けるべきか?それはPMやPMOが判断すべきことはありません。PM兼発注責任者(部課長)であればそのケースもあるかもしれませんが、それはあくまでPM=プロジェクトの成功請負人としての人格ではないのが注意点です。しっかりとした判断の線引きが必要です。
自社に原因がある場合の動き方としてPMが稼働を上げて責任を取る、というのは悪手です。結論として、自身だけが背負いきれるケースは少なく大概はプロジェクトメンバーや会社に迷惑が掛かってしまいます。
ではどうすればよいか?一例をご紹介すると、「建て直すプランを作って上司にレビューしてもらう」です。これはPMか、PMから役割を移譲されたPMOの責任でやるべきです。
社内レビューに出したプランがNGであったり、別の大方針がある場合は上司や営業から別の選択肢が出てくると思いますので、出てくれば一緒に揉めばOKです。
つまり、「自分でやって良いこと」「自分がボールを持つこと」の線引きが重要ということです。PMはプロジェクトの成功請負人であって、プロジェクトスコープから逸脱した事項に対して責任を取る役目ではありません。
ポイント3:PMO/PMに求められるのは「好かれること」ではなく「終わらせること」
職業PM(PMO)であれば目的は「終わらせること」でよいと思います。
事業会社の大規模プロジェクトのためにコンサル・SIerからアサインされるケースもあるので、その場合は職業PMとなり原則割り切りでよいと思います。むしろ事業会社からはプロフェッショナル性を求められているはずなので、人柄を出す必要はないと思います。
面倒なのは事業会社など自社開発での内製PMかなと思います。私はSIerでも事業会社でもPMを務めたことがありますが、あるプロジェクトでは主要ポジションは全て内部からアサインだったので受発注行為が発生しておらず、かなり曖昧な線引きで進みました。
例えば隣のチームとのリソースの貸し借りが日常茶飯事だったり、よそのチームに他の並行プロジェクトが忙しくて開発が間に合わないと突然言われたり・・・私個人的には事業会社でのPMよりも職業PMとして顧客と相対する方が楽でした。
余談ですが、10年以上前に初めてPMを担当して、顧客に好かれようと必死になって、プロジェクトを大炎上させたことがありました。私含めて4人くらい退職することになりました。今思い出しても苦しい気持ちになりますが・・・それが今の自分の武器の一つにもなっています。
最後に
いろいろと綴りましたが、プロジェクトは生ものなので型にはめて安定して進めることはとても大変です。(しかしその中でもできるだけ再現性を高めたい)
皆様も是非いろいろな体験をして、自分のメソドロジーを確立してください!辛い思いをした分だけ強くなれると(私は)信じています!