私は、「当たり前」を教える難しさを知った。 ― 知っていることを、どう伝えればいいのか。―

私は、「当たり前」を教える難しさを知った。 ― 知っていることを、どう伝えればいいのか。―

記事
ビジネス・マーケティング
私は、

新しい店舗を、

オープンした時のことを、

今でも覚えています。

その地域では、

有名な飲食店の代表が、

スタッフ六名ほどを連れて、

店へ来てくれました。

新しい店に、

同業者が来てくれる。

私は、

ありがたいと思っていました。

皆さんが帰った後、

テーブルを、

片づけていました。

そこで、

気づきました。

新品の箸置きが、

三つ、

なくなっていました。

私は、

驚きました。

一つなら、

何かの間違いかもしれません。

でも、

三つです。

最初に、

頭へ浮かんだのは、

こんな言葉でした。

「どういう教育をしているんだ?」

代表も、

一緒に来ています。

これだけの人数で、

三つなくなっている。

もしかしたら、

代表も、

知っていたのではないか。

そんなことまで、

考えました。

でも、

少し時間が経って、

私は、

別のことを考えました。

「じゃあ、自分の会社はどうなんだ?」

私の会社にも、

他店へ行った時、

問題のある行動をした社員がいました。

後輩から、

信頼されていた社員です。

仕事について、

人へ教えることもできる。

ホスピタリティーについて、

語ることもできる人でした。

そんな社員と、

一緒に居酒屋へ行った帰りです。

その社員は、

自動ドアの間に、

店にあった大きな灰皿を置きました。

さらに、

店のメニューまで、

持ち帰ってきました。

私は、

怒りました。

そして、

思いました。

「さっきまで、

ホスピタリティーについて、

話していたよな?」

そこで、

私は、

他店のスタッフを、

簡単に批判できなくなりました。

自分の会社にも、

同じようなことをする人がいる。

では、

私は、

何を教えればいいのでしょう。

例えば、

社員を集めて、

こう言うのでしょうか。

「人の物を、盗んではいけません。」

でも、

そんなことは、

みんな知っています。

飲食店へ入社して、

初めて教わることではありません。

子どもの頃から、

知っているはずです。

人の物を、

勝手に持って帰ってはいけない。

他人が困ることを、

してはいけない。

相手の立場を、

考えましょう。

どれも、

多くの人が、

知っています。

だからこそ、

私は困りました。

知っていることを、どう教えればいいのか。

オペレーションなら、

教えることができます。

この食材は、

こう切る。

この料理は、

この順番でつくる。

この機械は、

こう使う。

できなければ、

もう一度、

やって見せることもできます。

一緒にやることもできます。

練習すれば、

できるようになることもあります。

でも、

人としての考え方や、

相手への配慮は、

同じようにはいきません。

「相手を大切にしましょう。」

そう言えば、

大切にできるのでしょうか。

「相手の立場で考えましょう。」

そう言えば、

次の日から、

行動が変わるのでしょうか。

私は、

分からなくなりました。

だから、

スタッフには、

他の飲食店へ行った時のことも、

よく話しました。

良いサービスを、

受けたいなら、

良いサービスをしたくなる、

お客さんでいよう。

店員の、

悪いところばかり探す。

横柄な態度を取る。

困らせる。

その一方で、

自分の店へ戻れば、

「お客様を大切にしよう。」

それでは、

何かが違う。

私は、

そう思っていました。

笑顔で、

接してほしいなら、

自分から、

笑顔で接する。

大切にしてほしいなら、

自分も、

相手を大切にする。

相手に、

何かを求める前に、

自分の行動を、

見てみる。

私は、

そんなことを、

伝えていました。

それでも、

伝えたからといって、

必ず行動が変わるわけではありません。

私は、

「教える」ということについて、

何年も、

考え続けました。

そして、

何周も、

何周も、

考えた末に、

少し変なところへ、

たどり着きました。

教えられないこともある。

ということです。

私は、

「盗んではいけない。」

ということを、

大人のスタッフに、

どう教えればいいのか。

最後まで、

答えを見つけられませんでした。

でも今は、

それでいいのかもしれないと、

思っています。

何でも、

誰かから、

教えてもらえるわけではありません。

誰かに、

答えを言われたから、

身につくわけでもありません。

自分の行動を、

自分で振り返る。

なぜ、

あんなことをしたのか。

相手は、

どう感じただろうか。

自分が、

同じことをされたら、

どう思うのか。

そして、

次は、

どうするのか。

最後は、

本人が、

考えるしかありません。

だから私は、

「当たり前」を、

一方的に教えることより、

自分の行動について、自分で考えられる人になってほしい。

そう思うようになりました。

当たり前のことほど、

難しいのだと思います。

知らないことなら、

教えることができます。

でも、

知っていることを、

行動にするのは、

本人です。

「挨拶をしましょう。」

「人を大切にしましょう。」

「相手の立場で考えましょう。」

言葉にすれば、

簡単です。

でも、

その言葉を、

自分の行動にできているのか。

そこまで考えると、

決して、

簡単ではありません。

だから私は、

スタッフだけではなく、

自分自身にも、

問いかけるようになりました。

「知っているだけで、終わっていないだろうか。」

「自分の行動に、できているだろうか。」

当たり前のことほど、

教えるより、

実践する方が、

ずっと難しい。

私は、

そう思っています。

🐾アオ日記

主人は、

知っていることと、

できることは違うと言うにゃ。

アオも、

テーブルに乗ると、

主人に怒られることは、

知っているにゃ。

でも、

乗るにゃ。

知識はあるにゃ🤣🐾

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