【ココナラブログ版】
動けない患者さんが1回で変わった。現場で見えてきた「行動と心の本当の順番」
理学療法の現場では、日々、体に関するさまざまな悩みを持った方々と向き合っています。
先日、そんな現場でひとつの出会いがありました。その方は、長い間付き合ってきた体の「痛み」や「不調」に対して、なかなか正面から向き合えずにいた方です。
変わりたい、この痛みをどうにかしたい。その思いはある。でもいざ、日々の生活の中でリハビリの運動をしたり、生活習慣を少し変えたりといった「実際の行動」に移そうとすると、どうしても一歩が踏み出せない。結果として、症状にも良い変化が見られないまま、どこか停滞した空気を抱えていらっしゃいました。
私がその方を担当したのは、その日が初めてのことでした。これまでの経緯を伺いながら、限られた時間の中で、ご本人の状態に合わせたお話を一度だけさせていただきました。「こうしなきゃダメですよ」という強い言葉ではなく、「これなら少しやってみようかな」と思えるような、本当にささやかなアドバイスと、次までの小さな約束事です。
正直なところ、私も「まずは少しでも試してみてくれたらいいな」くらいの、穏やかな気持ちで見守るような感覚でした。
ところが、次にその方が来院されたとき、私自身も驚くような変化が待っていたのです。
「なんとなく腑に落ちて、少しやってみた」がもたらした変化
次にその方が現れたとき、変化は「顔つき」や「話し方」から明らかに伝わってきました。
前回の指導のあと、その方は実際に行動に移されていたのです。
「あのとき言われたことが、なんとなく腑に落ちたんです。だから、ちょっとだけやってみようと思って」
大げさな決意をしたわけでも、強い義務感に駆られたわけでもない。ただ、タイミング良くパズルのピースがはまるように「なんとなく腑に落ちた」から、ほんの少しだけ試してみた。
そして何より大きかったのは、その結果として「自分で自分の体の変化に気づけたこと」だと、ご本人が嬉しそうに語ってくれたことです。
「あ、これをやると本当に体が楽になるんだ」
「自分で動かせば、ちゃんと変わるんだ」
他人に「良くなりましたよ」と言われるのではなく、自分の感覚として変化を実感できたこと。この小さな成功体験が、その方の内側にあった停滞感を一瞬で吹き飛ばしたようでした。2回目にお会いしたときのその方は、1回目とは見違えるほど、自分の体に対して前向きで、主導的な姿勢に変わっていらっしゃいました。
「心が前向きだから動ける」のではない。動くから、心が変わる。
この患者さんとの出会いは、私にとっても大切なことを再確認させてくれる経験でした。
私たちは何かを始めようとするとき、どうしても「まずモチベーションを上げなきゃ」「心が前向きにならないと行動できない」と考えがちです。でも、現実はその逆であることがほとんどです。
今回の患者さんも、最初から強いやる気があったわけではありません。ただ、タイミング良く「なんとなく腑に落ちた」から、ほんの少しだけ試してみた。そして「自分で変化に気づけた」という体験が、後からその方の心を前向きに変えていったのです。
大切なのは、完璧な形でスタートすることではありません。最初から100%綺麗に整える必要はないのです。
今回の患者さんのように——
なんとなく腑に落ちる→ちょっとだけやってみる→自分で変化に気づく
この小さな循環さえ生まれれば、仕組みも、心も、あとから少しずつ整っていきます。
もし今、「頭ではわかっているのに動けない」と感じているなら、それはあなたがダメなのではなく、順番が逆になっているだけです。気合を入れて心を奮い立たせる必要はありません。「なんとなく」で構いません。今できる極小の何かを、ちょっとだけ試してみる。
あなたの人生が変わり始めるきっかけは、そんな風に、走りながら、やりながら、少しずつ整っていくものなのだと思っています。
行動の整え方や小さな仕組みは、コンテンツマーケットに整理しています。気になった方はのぞいてみてください。