立冬が、もうそこまで来ているわね。
時雨がぱらぱらと降ったかと思えば、すぐに陽が差して、道の落ち葉が光っているの。
庭の柚子も、みかんも、少しずつ色づいてきたわ。
実が色づくには、春からの長い日数が要るのよね。
今日はね、【礎(いしずえ)】のお話をしましょうか。
◆ 【礎】は、こんな人
生年月日の数字を足していって、22になった方。
頭の中に、ずいぶん大きな絵を持っていらっしゃる。
けれどそれを「いつか」で終わらせずに、石を一つ、また一つと置いていける。
そういう星回りを持って生まれた方が多いのよ。
職場でね、皆が「それは理想としてはいいけれど、現実には無理でしょう」と言う場面があるでしょう。
そのとき一人だけ、黙って紙に手順を書き出している方がいるの。
「では、今月はここまで。来月はここまで」と。
あれが【礎】の手つきだわね。
夢を語るのが上手なのではなくて、夢を段に分けるのが上手なのよ。
人を動かすときも、気持ちを煽るのではなく、やることを見える形にして渡す方だわ。
暮らしの中でもそう。
家の中で不便なところがあると、我慢するでもあきらめるでもなく、棚をひとつ作り替えてしまう。
何年もかけて少しずつ家を整えている方もいらっしゃるわね。
お買い物でも、10年使うつもりの道具を、半年考えてから買う。
待ち合わせの店を決めるときでさえ、相手の帰り道まで頭に入れている。
22の人の性格を一言でいうならね、「遠いところを見ながら、足元の一歩を置ける人」。
あなたが黙って積んだものの上を、ずいぶん多くの人が歩いているものだわね。
◆ ときどき、こんなことでつまずくの
大きな絵が見えてしまう方だから、完成までの道のりの長さに、ご自分でくたびれてしまいがちだけれどね。
まだ半分なのに、残りの半分がはっきり見えている。
だから「まだこれだけある」と、いつも思ってしまう。
まわりが「もうこんなに進んだのね」と喜んでいるときに、一人だけ浮かない顔をしていることもあるのよ。
それに、責任を感じる範囲が広いのね。
自分の分だけでなく、全体が立ち行くかどうかまで背負ってしまう。
「私が投げ出したら、この話はなくなる」と思うから、しんどくても口に出せない。
人に任せるのも、説明する手間を思うと自分でやったほうが早く感じてしまうでしょう。
そうして肩が凝るほど抱えて、誰にも気づかれないのよね。
でもね。石は、一度に積むものではないの。
今日置いた一つは、もう誰にも動かせないのだから。
◆ 【礎】のあなたへ、お守りをひとつ
夜、寝る前に。
「今日置いた石」を、ひとつだけ手帳に書いてごらんなさいな。
小さくていいのよ。
「電話を一本かけた」
「見積もりを一枚もらった」
「材料を調べた」
進んだ割合や残りの量は、書かないこと。
置いた石の名前だけを、一行で。
たったこれだけ。でもね、これが効くのよ。
あなたはいつも完成した絵のほうを見ているから、目の前の一石が小さく見えてしまうの。
けれど書いて残しておけば、ひと月後に読み返したとき、ちゃんと石垣の形になっているのがわかるものだわね。
遠くを見る目はそのままでいいの。
見返す場所を、一つ持っておくだけよ。
書き忘れた夜があっても構わないわ。三日坊主で結構。
思い出した晩に、また一行足してちょうだいね。
◆ こんな季節、こんなとき
時雨が降って、すぐ陽が差す。
この時季の空は、ずいぶん気まぐれだわね。
【礎】の方は、思うように進まない日が続くと、ご自分を責めてしまいがちよ。
けれど柚子だって、昨日今日で色づいたわけではないもの。
降ったらやむまで、縁側でお茶を一杯。
うちの黒猫の縁(えん)は、時雨のあいだじっと軒下で待っていて、陽が差すとすっと庭へ出ていくわ。
待つのも、仕事のうちだわね。
◆ 次のお話
来週の水曜日は、33【慈雨の手(じうのて)】のお話をするわね。
誰にでも分け隔てなく、同じようにやさしさを注いでしまう方。
あの惜しみない手と、少し行き場をなくす気持ちを、ゆっくりお話ししましょうね。
連載も、いよいよ最後の数だわ。
◆ 12の数字の物語・目次
順番に読まなくてもいいのよ。
ご自分の数の回だけ、のぞいてくださってもいいわ。
1【一番槍(いちばんやり)】
2【二人連れ(ふたりづれ)】
3【三日月笑い(みかづきわらい)】
4【四方固め(しほうがため)】
5【五街道(ごかいどう)】
6【六花むすび(りっかむすび)】
7【七色の井戸(なないろのいど)】
8【八方繁盛(はっぽうはんじょう)】
9【九重の実り(ここのえのみのり)】
11【宵の明星(よいのみょうじょう)】
22【礎】← 今日はこのお話
33【慈雨の手】近日
ご自分の数の出し方は、おひろめの記事に書いてあるわ。
生年月日の数字をたどるだけの、やさしい占いよ ▼
◆ 縁側からのお知らせ
あなたが生まれ持った数と、今日引いた一枚。
このふたつが重なると、また違うものが見えてくるものなのよ。
・全体運鑑定▼
お申し込みのときに生年月日をお知らせいただけたら、持って生まれた星回りのことも、あわせてお手紙に添えられるわ。
お手紙の形でお届けしますから、その場で急かされることはないの。
おかげさまで、これまでいただいたご感想はどれも★5の評価をちょうだいしているのよ。
それからね、いずれ、数のことをじっくり見るご鑑定も、支度をしているところなの。
整ったら、またこの縁側でお知らせするわね。
◆ おことわり
このお便りはね、あくまで読み物として書いているものよ。
お体のことや、法律や金銭にまつわる大事なご判断は、それぞれのお医者様や専門の方にちゃんと相談してちょうだいね。
私からのお話は、その隣に置いておく湯呑みくらいの位置にいさせてくださいな。
あなたの一週間が、やわらかくほどけていきますように。
東雲みのり