【2026/1/11更新】
※更新内容については記事末尾へ
ネットにはさまざまな情報があり、「結局なにを食べればいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、元病院の管理栄養士でありうつ病当事者でもある筆者が、
日本うつ病学会のガイドライン(以降、「学会のガイドライン」とします)など、信頼できる情報に基づきながら、「うつ病の方が無理なく取り入れられる食事の考え方」をやさしく解説します。
※この記事は随時更新しています。より良い情報にアップデートしていく予定です。
大事な前提:この記事の対象
この記事は、軽症〜回復・維持期のうつ病の方を主な対象としています。
すでに医師・管理栄養士など医療者から食事指導を受けている場合は、そちらを優先してください。入院中の方も同様です。
※料理が全くできないほど症状が重たい方はこちらの記事を参考にしてください。
なお、料理がしんどい方や、料理に苦手意識がある方にも役立つ内容になっていますので、ぜひご覧ください。
また、日本うつ病学会のガイドラインでは、食事は薬物療法や精神療法(カウンセリングなど)に代わるものとはしていません。
そのため、いきなり全部をやる必要はありません。
※白状すると筆者も全部はできていません!
記事の後半では何から始めればよいか分からない方向けに“小さな優先順位”もご紹介しています。
できそうなところだけ拾う、くらいの気持ちで読んでいただければと思います。
まず結論:強く勧められる食習慣はこの3つ
学会のガイドラインや厚生労働省の指針、日本人を対象とした研究に基づき、特におすすめできるポイントは次の3つです。
① 朝食を含め、なるべく3食規則的に食べる
朝食を抜くと体内時計のリズムが乱れ、睡眠の質に影響する可能性が示されています。
とはいえ、朝から料理をするのは大変なときもあります。そんな時はバナナ1本、ヨーグルト1個だけでもOK。
「何かを少し食べる」ことで体は朝を認識し、ゆっくりとリズムが整っていきます。
② バランスよく食べる
※イラストは一例です。
このとおりにする必要はありません。
3食すべて守る必要はありませんが、「主食・主菜・副菜」の3つを意識すると栄養が偏りにくくなります。
具体的な整え方は後半で詳しく紹介します。
③ アルコールは控える
学会のガイドラインでは、アルコールは症状悪化のリスクがあるとしています。
「寝つきを良くするためのお酒」は逆効果になりやすく、翌日の気分の落ち込みや薬の効き方にも影響することがあります。
もし減らしにくければ、まずは「量を少し減らす」ことから始めてみましょう。
SNS等で『〇〇がうつ病に効く』といった情報を見かけることはあります。
しかし残念ながら、学会のガイドラインではうつ病を改善すると断言できる食品は今のところないとしています。
つまり、うつ病だからといって“特別な食事”が必要というわけではありません。
とはいえ、「じゃあ何から始めればいいの?」と迷うことも多いと思います。
次の章では、まずどこに力を使うと負担が少なく続けやすいのか、小さな優先順位をお伝えします。
どれから始めればいい?迷ったときの「小さな優先順位」
これから示す優先順位は、
日本うつ病学会のガイドラインの考え方を踏まえつつ、
管理栄養士としての経験と、
筆者自身のうつ病経験からまとめた
「取り入れやすさを重視したひとつの提案」です。
決して義務ではないので、合わない場合は無理に続ける必要はありません。
① 朝食に食べたいものを食べる
👉少量でも栄養がとれ、体内時計を整える助けにもなります。
※バナナやヨーグルトは、食べやすく栄養もとれておすすめ
② 昼食と夕食は“食べたいものを決まった時間に”
👉内容より「リズム」を優先することで、心身の安定につながります。
③ 体調が比較的よい日は、“取り入れやすい工夫”を追加
次の章で紹介する小さな工夫を
気分が比較的いい日の
朝・昼・夕食のうちの1回、
1品だけ取り入れることから始めてみてください。
もし今は「食事のタイミングを整えるので精一杯」という方は、ここまで読んでもらえれば十分です。
無理に次へ進む必要はありませんし、続きは“読む気力があるときだけ”で大丈夫。
タイミングが安定してきたら、またふらっと戻ってきてもらえればうれしいです。
次の章では、もう少し余裕が出てきた方向けに「バランスを取りやすくする小さな工夫」を紹介します。
バランスよく食べるアイディア集
厚生労働省の食生活指針などをもとに、できるだけ負担の少ない形でバランスよく食べるコツをまとめました。
重要なので繰り返しますが、すべてを意識する必要はありません。
読む中で「これは気が楽にできそうかも」と思えるものが、1つでも見つかれば十分です。
もちろん、見つからなくても大丈夫です。
気になったときに、また読み返していただければうれしいです。
① 主食・主菜・副菜をなるべく意識する
主食・主菜・副菜は、バランスの基本です。
とはいえ、うつ病のときに完璧を目指すのは大変なので、そろえられる日だけでOKです。
✅ 主食(ごはん・パン・めん類)
一番ラクなのはレンチンご飯です。
容器ごと温めるだけで主食が整います。
余裕がある日は、最近の精米は質が良いので、研がずに水洗いだけでも炊飯できます。
さらに気が向いたときは、雑穀をひとさじ混ぜると食物繊維アップ。
パン派の方は、手が伸びる日だけ全粒粉パンやライ麦パンを選ぶと同じ効果が期待できます。
✅ 主菜(肉・魚・卵・大豆製品)
主菜は「最もラクなものから」で大丈夫です。
【一番ラク】
● しらす
● 豆腐(冷ややっこ)
● 調理済みの焼き卵
【少しだけ手間】
● さば水煮缶(皿に出すだけ)
● 卵(500W30~40秒で温泉卵にする)
【余裕がある日だけ】
● 豚・牛の薄切りをしゃぶしゃぶにする
※タレをかけずにつけることで塩分をカット
● 鶏肉(唐揚げ用に一口サイズになっているもの)を焼いて
マヨネーズのタレにつける
✅ 副菜(野菜・きのこ・海藻など)
副菜は包丁を使わなくてもOKなものを基本にしましょう。
● 冷凍ブロッコリーやミニトマトでサラダにする
● カット野菜やきのこをみそ汁・スープ・なべ料理に入れる
「ちゃんとした料理を作らなきゃ」と思う必要はありません。
一品足せたらラッキーくらいの気持ちから始めてみましょう。
② 野菜と果物を“包丁なしで”増やす
「野菜が体に良い」のは知っていても、
調理のハードルが高いと感じる方はとても多いです。
そこでおすすめなのが包丁を使わない食材です。
【野菜】
「副菜」の項目で紹介した冷凍ブロッコリーなど包丁を使わない食材でも十分です。
【果物】
果物も「むかなくていいもの」からがラクです。
● バナナ
● ぶどう
● カットフルーツ
③ 牛乳・乳製品・魚・豆類でカルシウムを“無理なく補う”
カルシウムは直接うつ病と関係するわけではありませんが、将来の骨粗鬆症予防に役立つため、余裕があるときに少し意識できると良いです。
● 牛乳・ヨーグルト
● 豆腐・納豆
● 小魚・鮭
④ 塩分のとり過ぎになるべく注意する
塩分をとりすぎないことは生活習慣病の予防につながります。
ただし、うつ病のときはおいしいものを食べることで安心につながる人も多いので、できそうなことからで大丈夫です。
● しょうゆや塩の代わりに、レモン・酢・香辛料を試す
● 塩味がうすいものは濃いめのものと一緒に食べる(口内調味)
● ラーメンなどの汁はなるべく残す
しんどい日は、好きな味で自分を安心させてあげてください。
1つでもできそうなことが見つけられたら
体調がいい日に1品から試してみてください。
もし試してみて
【一度できたら】
まずは自分をほめてあげてください。
「自分でほめるのが難しい…」という日は、
家族や友人、主治医、カウンセラー、
あるいはChatGPTなどのAIに
「今日できたこと」を伝えて、
ほめてもらうのも良い方法です。
そして、“続けられそうだな”と感じる日に、またひとつだけ試してみる。
そんなペースでゆっくり増やしていけば大丈夫です。
【今日は難しそうと思ったら】
その日はお休みでOK。
できない日があるのは自然なことです。
薬や精神療法を維持しながら
“続けられたらラッキー、
できなかったら普通のこと”
くらいの気持ちで大丈夫です。
時間をかけて少しずつが続けるコツです。
まとめ
「食事に気をつけましょう」と聞くと、難しい料理をきちんと作らなきゃと思いがちですが、実際にすすめられる食事はとてもシンプルです。
✅朝食を含め、規則的に食べる
✅なるべくバランスよく食べる
①主食・主菜・副菜を基本に
②野菜・果物を意識してとる
③牛乳などでカルシウムをとる
④塩分の取りすぎには注意
※体調がいい日に
1品から試してみる
できたら自分をほめる
✅アルコールは控える
どれもできる範囲で少しずつで大丈夫です。
もし、
「何から始めたらいいかわからない」
「無理なく作れるレシピを知りたい」
と感じるときは、
お住まいの地域の保健所や
日本栄養士会の栄養ケア・ステーションに相談するという選択肢もあります。
※「(お住まいの自治体名) 栄養相談」で検索すると見つけられます。
相談が負担に感じる時は、もちろん無理をする必要はありません。
あなたのペースで、できるところからで大丈夫です。
おわりに
このブログでは今後も、うつ病の方にも取り入れやすいレシピや食事の工夫を、無理なく続けられる形で紹介していきます。
もしこの記事が少しでも役に立ったと感じていただけたら、「いいね」やフォローで応援していただけると嬉しいです。
あなたの日常が、すこし軽くなるきっかけになりますように。
本ブログでは、この記事以外にも
うつ病の方の体調や気持ちを前提にした
食事・栄養に関する記事をいくつか書いています。
もし余裕があるときに、
目に留まったものだけ読んでもらえたらうれしいです。
ブログで取り上げてほしいテーマや、深堀りしてほしい点があれば、下記のプロフィール画面右上の✉マークより受け付けていますので、お気軽にお寄せください。
【2026/3/2追記】
記事を読んで「私の場合はどうすればいい? 」と感じた方へ。
今のあなたの体調に合わせて、無理のない「小さな一歩」を一緒に見つける個別アドバイスを始めました。
※現在「受付休止中」となっていますが、
「ご購入いただけない」という意味ではありません。
事前相談の後、サポート可能な場合は
【あなた専用の購入枠】として受付を一時再開いたしますので、
そのままご購入いただけます。
(他の方の誤購入を防ぐための措置です)
まずは「✉出品者に質問」よりお気軽に事前相談をお寄せください🌱
参考サイト
日本うつ病学会「うつ病診療ガイドライン2025」(2026/1/10閲覧)
厚生労働省 食生活指針(平成28年6月)
(2025/11/25閲覧)
参考文献
今泉博文. うつ病の毎日ごはん : 国立精神・神経医療研究センターの医師と管理栄養士が教える. 女子栄養大学出版部, 2015, 食事療法はじめの一歩シリーズ.
日本人の食事摂取基準(2025年版). 第一出版, 2025
【2026/1/11更新内容】
大事な前提について: 日本うつ病学会のうつ病診療ガイドラインの最新版に準拠した内容に変更しました