最終話「運命が重なる場所」

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占い
蒼と未来の話をしてから、
一ヶ月が過ぎていた。

あの夜の電話は、
澪の人生の中でも
忘れられない時間になった。

恋はいつも
突然始まる。

でも、
人生を変える恋は
静かに覚悟を求めてくる。

蒼は本当に動いていた。

会社に相談をし、
東京支社への異動の話を進めていた。

まだ決定ではない。

でも、
現実は確実に動き始めている。

澪はその話を聞くたび、
嬉しさと不安が混ざった感情になった。

「もしうまくいかなかったら」

「もし私のせいで
 蒼の人生を変えてしまったら」

そんな思いが
何度も浮かぶ。

でもそのたびに
蒼は同じことを言った。

「澪のためじゃない」

「俺がそうしたいから」

恋は、
誰かに背負わせるものじゃない。

自分で選ぶもの。

蒼は
それを何度も伝えてくれた。

そして、
その日が来た。

蒼が東京に来る日。

「大事な話がある」

そう言われていた。

澪は少し緊張しながら
駅へ向かった。

二人が何度も会ってきた
あの川沿いの街。

夕方。

オレンジ色の光が
川の水面に広がっている。

澪は橋の近くで
蒼を待っていた。

風が吹く。

少しだけ冷たい。

でも、
その風はどこか心地よかった。

遠くから
蒼が歩いてくるのが見えた。

黒いコート。
少し急ぎ足。

澪を見つけると、
蒼は少し笑った。

その笑顔は
初めて会った日の蒼と同じだった。

「待った?」

澪は首を振った。

「ううん」

蒼は少し息を整え、
澪の前に立つ。

しばらく
二人は黙っていた。

川の音だけが聞こえる。

蒼が言った。

「決まった」

澪の心臓が
強く跳ねた。

「東京、異動できる」

澪の目が大きくなる。

蒼は続けた。

「来月から」

その瞬間、

澪の中で
何かがほどけた。

不安も、
緊張も、
全部。

「ほんとに?」

蒼は笑った。

「ほんと」

澪は思わず
笑ってしまった。

涙が
少しだけ出た。

蒼が驚く。

「なんで泣くの」

澪は笑いながら言う。

「安心した」

蒼は少し照れたように笑った。

そして
少しだけ真剣な顔になる。

「澪」

「うん」

蒼はゆっくり言った。

「ここまで来たら
ちゃんと言わせて」

澪の心臓が
また速くなる。

蒼は
澪の目を見て言った。

「俺と付き合ってください」

その言葉は
シンプルだった。

でも、
そこにはたくさんの時間が詰まっていた。

出会い。

すれ違い。

距離。

不安。

再会。

全部を越えて
たどり着いた言葉。

澪は
少しだけ笑った。

「遅いよ」

蒼が驚く。

「え?」

澪は言った。

「もう好きだよ」

蒼が
思わず笑う。

「じゃあ」

「もう付き合ってる?」

澪は頷いた。

「たぶん最初から」

二人は
同時に笑った。

恋は、
言葉より先に始まることがある。

蒼は
ゆっくり澪の手を取った。

今までより
少し自然な手のつなぎ方。

澪は思う。

恋は
奇跡じゃない。

偶然の出会いがあり

小さな選択が重なり

信じる気持ちが続いたとき

それは
運命になる。

川の向こうに
夜の灯りが広がる。

蒼が言った。

「これからさ」

「いっぱい喧嘩もすると思う」

澪が笑う。

「うん」

蒼は続ける。

「でも
そのたびに思い出そう」

「ここまで来たこと」

澪は頷いた。

二人は
ゆっくり歩き出した。

恋の物語は
ここで終わる。

でも、
本当の物語は

ここから始まる。

この世界には
目に見えない流れがある。

偶然のようで
必然のような出会い。

もし
運命というものがあるなら

それはきっと

誰かを好きになったとき
静かに動き始めるものなのかもしれない。

そして

その運命を
本当の未来に変えるのは

奇跡ではなく

「選び続ける心」

澪と蒼の恋は

これから
人生になる。

完。
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