神様がくれた時間 ― 家族で過ごした日々のこと。

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あの夜、彼女と語り合ってから、さらに時は流れました。
私も、ひとりの人と出会い、結婚し、息子が生まれ、そして“家族”になっていきました。

外から見ると、まるで三人で漫才をしているような賑やかな家族。
毎日が笑いにあふれ、泣くことより笑うことの方が多かった。
今思い出しても、胸がじんわり温かくなります。

タロットカードも、人を占うことはやめていました。
ただ、家族の健康や運勢をカードに聞く、静かな習慣として続けていたのです。
私は、この穏やかな日々が、ずっと、永遠に続くのだと信じていました。

異変は、ある日、静かに訪れました。

主人が言いました。
「なんか、足が上がらないんだよね……左肩が重いような気がする。」

普段は熱があっても「会社に行けば治る」と笑うような人。
弱音など一度も吐いたことのない主人の、その言葉に胸がざわつきました。

「今日は休んで病院行きなよ。」
「うーん、ちょっとヤバい案件抱えててさ。サクッと行って帰ってくるよ。」

結婚して22年。
はじめて聞いた弱音を、深刻に受け止められなかったのです。
お互い、まだ“無理がきく年代”だと思っていました。

その夜中――。
「ごめん、救急車呼んでほしい。」

静まり返った部屋で、震える声が聞こえました。
そのまま大学病院に運ばれ、「心筋梗塞」と告げられました。

即手術。
カテーテルでの処置は成功し、経過も順調。
「よかった……これで元に戻れる」そう思った矢先――
再び、心臓に異変が起きました。

心膜に炎症が発生し、再手術。
成功率40%。
手を握りしめながら、ただ祈ることしかできませんでした。

それでも主人は、奇跡のように戻ってきました。
「もう大丈夫」と言い合ったあの日の夜、
私は本気で“この人は無敵だ”と思ってしまったのです。

けれど、運命は三度、試練を与えました。

再び心膜に異常が発生。
今度の成功率は20%台。
手術時間は12時間を超えました。

息子と二人、毛布をかぶって待合室で過ごした長い夜。
時計の針が何度も一周しても、手術は終わらない。
それでも――主人はまた帰ってきてくれました。

まるで、運命を笑い飛ばすように。
その強さに、私たちは何度も救われました。

リハビリの日々が始まりました。
息子は浪人生。主人は休職中。
二人は毎日、近所を散歩し、ランチを楽しみ、
まるで兄弟のように仲良く過ごしていました。

「今日ね、パパが坂道で勝った!」
「でも、俺の方が歩数多いから!」

夜、仕事から帰った私に、ふたりはいつも笑顔で報告してくれました。
本当に、あの時間は宝物のようでした。

今でも息子は言います。
「あの時間があってよかった。パパのこと、いっぱい知れた。」

そして年が明け、体調も安定し、復職の目処も立ち始めた頃。
あの日がやってきます。

私の人生で、いちばん悔やんでいる日。
もし時間が戻るなら――あの日に戻してほしい。
そう思わずにはいられない、永遠の一日です。

本当はここで「ココナラを始めるまで」を書くつもりでしたが、
どうしても書きたいことがあふれてしまいました。

もう少しだけ、お付き合いくださいね。
次回、「別れの朝」へ――。
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