こんにちは。
社会保険労務士の尾形です。
「うちは従業員が少ないから、細かいルールは必要ない」
「社長と従業員の関係も良好だから、特に問題はない」
このように考えている経営者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
従業員が少ない会社では、一人ひとりと直接話し合いながら仕事を進められることも多いと思います。
しかし、普段は問題がなくても、予想外のことが起きたときに、
会社のルールが決まっていないと対応に困ることがあります。
例えば、従業員から「うつの症状があるので、しばらく休みたい」と
言われたら?
あるいは、従業員が会社のルールに反する行為をしたら?
そんなとき、どのように対応するか決まっていますか?
今回は、小さな会社でも就業規則や社内ルールを整えておきたい理由についてお話しします。
■ 「うつで休みたい」と言われたら、どうしますか?
ある日、従業員からこんな申し出があったとします。
「心身の調子が悪いので、しばらく仕事を休ませてほしいです」
従業員の健康は大切です。まずは本人の状況を確認し、必要な配慮を検討することが重要です。
一方で、経営者としては、こんな疑問も浮かぶかもしれません。
- どのくらいの期間、休んでもらうことになるのだろう?
- 休職制度を設けていないけれど、どう対応すればよいのだろう?
- 復職できるかどうかは、何を基準に判断するのだろう?
- 休職期間が終わっても復職が難しい場合は、どうすればよいのだろう?
このような場面で、休職に関するルールが決まっていないと、会社としての判断に迷うことがあります。
私傷病による休職制度そのものは、法律で一律に設けることが義務付けられているわけではありません。
だからこそ、休職制度を設けるのであれば、対象となる場合や休職期間、復職の手続き、休職期間満了時の取り扱いなどを、あらかじめ整理しておくことが大切です。
もちろん、休職制度がないからといって、従業員の申し出を一律に拒否できるわけではありません。年次有給休暇や欠勤の取り扱い、病気の原因、労働関係法令なども踏まえ、個別に対応を検討する必要があります。
■ 休職期間が終わっても復職できなかったら?
例えば、休職期間を6か月と定めていたとします。
その期間が終わる時点でも、従業員が復職できる状態ではなかった場合、会社はどう対応すればよいのでしょうか。
休職期間を延長するのか、復職に向けてどのような手続きを行うのか、それとも別の対応を検討するのか。
こうした点が曖昧なままだと、会社と従業員の間で認識の違いが生じる可能性があります。
休職期間満了後の退職などを制度として設ける場合には、その条件や手続きを明確にしておくことが重要です。
ただし、就業規則に退職に関する規定を設ければ、どのような場合でも自動的に退職として扱えるわけではありません。
病気の原因が業務にある可能性や、法律上の解雇制限などにも注意し、慎重に判断する必要があります。
■ 従業員が問題行為をしたら、懲戒処分できますか?
もう一つ、考えておきたいのが、従業員が会社のルールに反する行為をした場合です。
例えば、
- 正当な理由なく、無断欠勤を繰り返す
- 会社の重要な情報を不適切に持ち出す
- 職場の秩序を著しく乱す行為をする
- 業務上の重大なルール違反をする
このような問題が起きた場合、会社としては、事実関係を確認したうえで、
適切な対応を検討することになります。
しかし、懲戒に関する規定が整っていなければ、どのような行為に対して、
どのような処分を行うのか、その根拠が問題になることがあります。
就業規則に懲戒の種類や事由を定め、従業員に周知しておくことが重要です。また、規定があっても、処分に客観的に合理的な理由がなく、
社会通念上相当と認められない場合には、無効となる可能性があります。
会社として必要なルールを整えておくことは、問題が起きたときの対応基準を明確にすることにもつながります。
■ 小さな会社ほど、ルールが曖昧になりやすい?
従業員が少ない会社では、日々のやり取りを口頭で済ませることもあると思います。
「いつものことだから」
「今までもこのやり方で問題なかったから」
そうした対応が、必ずしも悪いわけではありません。
ただ、口頭でのやり取りや、その場その場の判断に頼っていると、
経営者と従業員の間で認識が食い違うことがあります。
例えば、次のような点です。
- 休日出勤をした場合の取り扱いが決まっていない
- 遅刻や欠勤をするときの連絡方法が曖昧
- 休暇の申請方法が人によって違う
- 退職時の手続きや引き継ぎについて共通認識がない
普段は問題がなくても、いざというときに「そんな話は聞いていない」
「そういう意味だとは思わなかった」と行き違いが起きるかもしれません。
また、従業員が増えると、これまでのように一人ひとりに柔軟に対応することが難しくなる場合もあります。
だからこそ、会社が小さいうちから、働き方や労務管理の実態に合ったルールを整理しておくことが大切です。
■ 「仲が良いから大丈夫」とは限りません
社長と従業員の関係が良好であることは、職場にとって大きな強みです。
しかし、良好な関係があるからこそ、細かなルールを決めずに運用していることもあるのではないでしょうか。
例えば、長年働いている従業員には柔軟に対応していても、新しく入社した従業員には同じ対応ができないことがあります。
また、従業員が病気になったり、職場で問題が起きたりした場合には、それまでの信頼関係だけでは解決できないこともあります。
ルールを整えることは、従業員を厳しく管理するためだけのものではありません。
会社と従業員の双方が、共通の基準を理解し、安心して働ける環境をつくるためのものでもあります。
■ まずは、自社のルールを確認してみましょう
いきなり就業規則を作成することに、ハードルの高さを感じる方もいらっしゃると思います。
まずは、次の点から確認してみてはいかがでしょうか。
・労働時間や休日が明確になっている
・ 遅刻・欠勤時の連絡方法が決まっている
・休暇の申請方法を従業員が理解している
・休職制度を設けるかどうか検討している
・休職期間や復職の手続きについて整理されている
・ 懲戒の種類や事由が定められている
・退職時の手続きについて整理されている
・就業規則が現在の会社の実態に合っている
なお、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、
就業規則の作成・届出が法律上必要です。
10人未満の事業場には、この作成・届出義務はありませんが、
必要な社内ルールを整理しておくことには意味があります。
■ まとめ:トラブルが起きる前に、会社のルールを整える
従業員が少ない会社でも、休職や復職、懲戒、労働時間、休暇など、あらかじめ考えておきたいことは少なくありません。
問題が起きてから対応を考えるのではなく、事前にルールを整理しておくことで、会社としての判断基準を明確にし、不要な行き違いを減らすことにつながります。
「休職制度をどう定めればよいか分からない」
「懲戒に関する規定が整っていない」
「今の就業規則が自社に合っているか不安」
「そもそも、何から整えればよいのか分からない」
このようなお悩みをお持ちの事業者さまは、就業規則の整備を検討してみてはいかがでしょうか。
ココナラでは、社会保険労務士として、会社の実態に合わせた就業規則の作成サービスを出品しています。
会社のルールを一度整理してみたいとお考えの方は、ぜひサービスページをご覧ください。
小さな会社だからこそ、いざというときに困らないための準備を、今から始めてみませんか。