職場復帰支援の「5つのステップ」と規程のつくり方

職場復帰支援の「5つのステップ」と規程のつくり方

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コラム
社員が心の不調で休職する。制度としての「休職」は、どの会社にもあります。けれど意外と抜け落ちているのが、「どう戻ってもらうか」です。
復帰の場面でつまずき、再び休職に……というのは、決して珍しいことではありません。

前回は、メンタルヘルスの体制づくり(「4つのケア」やラインケア)を整理しました。今日はその続きとして、休業から復職までの流れを、専門的な視点でお伝えします。このブログは厚生労働省が示している「職場復帰支援の手引き」をもとにしているので、実務の標準形として使えます。

■まず、2つの言葉を分けて考える
手引きでは、次の2つを区別しています。ここがごちゃ混ぜだと、規程づくりも面談もぶれます。
・職場復帰支援プログラム……職場復帰支援について、あらかじめ定めておく「会社全体のルール」。=規程で定めるもの。
・職場復帰支援プラン……実際に休んでいた社員が復職するにあたって、復帰日・就業上の配慮など「その人ごとの支援内容」を決めたもの。
つまり、平時に「プログラム(規程)」を作り、いざというとき一人ひとりの「プラン」を作る、という二段構えです。

■手引きが示す「5つのステップ」
復職は、勢いや善意ではなく、順番で進めます。
・第1ステップ:病気休業開始及び休業中のケア(安心して休める入口をつくる)
・第2ステップ:主治医による職場復帰可能の判断
・第3ステップ:職場復帰の可否の判断、及び「職場復帰支援プラン」の作成
・第4ステップ:最終的な職場復帰の決定
(ここで職場復帰)
・第5ステップ:職場復帰後のフォローアップ
ポイントは、主治医の「復帰可能」は“入口の判断”であって、“最終決定”ではないこと。会社は第3〜4ステップで、実際の業務に照らして可否とプランを決めます。

■規程(プログラム)に、最低限入れておきたい項目
この5ステップが迷わず回るよう、規程には次を明記しておきます。自社の就業規則や産業医体制に合わせて作り込む前提の“骨格”です。
・目的/適用範囲……何のための規程か、どの休業に適用するかを最初に明確にする。
・休業開始時の手続……診断書の提出方法と、連絡窓口の一本化(複数人が別々に連絡して本人を消耗させない)。
・休業中の連絡方法とケア……頻度と手段を決め、「焦らせない」配慮を明記する。
・主治医の「復職可能」判断の扱い……診断書をどう受け取り、誰が確認するかを決めておく。
・復帰可否の検討と職場復帰支援プラン……いきなりフル勤務に戻さず、試し出勤や業務の段階的な調整を用意する。
・復帰後のフォローアップ……一定期間の面談を設定し、再発の兆しを早めに拾う。
・プライバシーの保護……本人の情報を扱う範囲と、扱う人を限定する。

■つまずきやすいポイント、3つ
1. いきなり元の業務量に戻す——「戻れた」で終わりにせず、段階的な調整を。ここが無いと再休職につながりやすいところです。
2. 情報が広がりすぎる——よかれと思った共有が、本人には「知られたくなかった」に。扱う人を絞ることが本人を守ります。
3. 主治医とだけ話して、現場と食い違う——「就労可」の判断でも、実際の業務に耐えられるかは別の話。現場の状況と突き合わせる場が要ります。また、産業医がいる場合は、主治医の診断書だけで決めず、復職予定者と産業医の面談を通じて、産業医の意見(復職可否の判断)も改めて確認しておくと安心です。産業医は、主治医の医学的な判断と、実際の業務内容の両方を踏まえて意見を述べられる立場だからです。

私は管理部門で30年、規程を整える側と、休職・復職に向き合う社員の面談(のべ1,000人ほど)の両方に携わってきました。だからこそ、「規程の条文をどう書くか」だけでなく、「その規程が現場で本当に機能するか」まで見て、お手伝いできます。

「うちの復帰支援、これで足りているだろうか」「この項目、自社だとどう書けばいい?」——たたき台づくりや、いまある規程の点検からで大丈夫です。まずは現状を、一緒に整理するところから始めましょう。
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