「また休職することになりました」
そのメッセージを受け取るたびに、私は言葉の裏を読もうとする。
_情けない。_
_せっかく戻れたのに。_
_また迷惑をかけてしまう。_
その人はそれを書いていないけれど、見えてしまう。10年以上この仕事をしていると、その感情は文字にならなくても伝わってくる。
正直に言います。再休職になった人の「申し訳なさ」の深さは、最初の休職とは比べものにならない。
最初の休職には、「追い詰められた」という事実がある。でも再休職には、「あんなに頑張って復職したのに」という記憶まで重なってくる。
わかります、すごく。
でも少しだけ、聞いてほしいことがあります。それは、あなたの弱さじゃないかもしれない。
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## この記事はこんな人におすすめです
> - 復職後にまた体調を崩した、または崩しそうで怖い
> - 再休職を経験して「自分はダメだ」と感じている
> - 復職を控えていて「また失敗するんじゃないか」と不安になっている
> - 周囲から「もう大丈夫でしょ」と言われ、プレッシャーを感じている
## この記事で得られること
> 1. 再休職が「意志の弱さ」ではなく「構造の問題」だとわかる
> 2. 臨床現場で見えてきた「再休職を招く誤解」の正体が理解できる
> 3. 「元通りを目指さない」という、回復の新しい考え方が手に入る
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## 再休職になった人が、口を揃えて言っていたこと
臨床の現場で、再休職になった方と向き合うとき、私はいつも同じような言葉を聞く。
「もっと頑張れると思ってたんです」
「周りに心配させたくなくて」
「復職できたときは、本当に嬉しかった。だから、もう絶対に崩れたくなかった」
その「絶対に崩れたくない」という気持ちが、どれほど強かったかを、私はよく知っている。
あるBさん(40代・製造業)は、復職して最初の3ヶ月を「できるだけ残業しないようにした」と言っていた。でも半年が過ぎた頃、少しずつ元のペースに戻し始めた。「もう大丈夫だと思った」と言って。
結果、9ヶ月後に再び休職になった。
このパターンは珍しくない。むしろ、臨床現場では「あるある」と言えるくらい、よく見る。
そして、この共通点を追っていくと、ある「誤解」に辿り着く。
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## たった1つの誤解——「元通りに戻ろうとした」
再休職になった多くの人に共通していたのは、これだ。
**「復職=元通りの自分に戻ること」だと思っていた。**
休む前の自分、あの頃の働き方、以前のパフォーマンス。それを取り戻すことが「回復」だと、無意識に信じていた。
これが、誤解だった。
少し専門的な話をすると、こころと体は一度限界を超えると、同じ「設定」には戻れない。
楽器で言えば、長く弾きすぎて弦が伸び切ってしまった状態に近い。チューニングし直すことはできる。でも元の張り具合そのままには戻らない。それを「戻ったはずなのに以前と同じように鳴らない」と言って、強引に弾き続けると、また切れてしまう。
職場に戻れたことは、回復の「証明」じゃない。回復の「プロセスの一部」だ。
でも「元通りを目指す」誤解があると、復職した瞬間から「証明し続けなければ」という圧力が始まる。
以前と同じように働けている、というところを見せなければ。
周りに心配させないようにしなければ。
弱いと思われないようにしなければ。
この圧力の中で、人は少しずつ、自分のSOSに気づけなくなっていく。
Bさんが「大丈夫だと思った」のは、本当に大丈夫だったからじゃない。「大丈夫でいなければ」という意識が、体のサインを見えにくくしていたんだと思う。
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## じゃあ、どうすればよかったのか——回復した人がやっていたこと
再休職を経験しながらも、その後安定して働けるようになった人たちには、共通した考え方がある。
それは「元通りを目指さない」ということだ。
**①「今の自分に合った働き方」を作り直す意識を持つ**
「以前はできていた」を基準にしない。今の自分が、どんなペースなら続けられるかを探す。これは諦めじゃない。新しいチューニングを見つける作業だ。
**②最初の3ヶ月は「7割で動く」を目標にする**
フルパワーで走ろうとしない。7割の力で動ける状態を、まず3ヶ月維持することを目指す。「物足りないくらいがちょうどいい」と感じる時期が、実は一番安定する。臨床現場でも、この時期に「頑張れそう」という感覚を信じて加速した人が、また崩れるケースをよく見てきた。
**③「SOS出せる人」を1人だけ決めておく**
「誰かに頼る」は難しい。でも「この人にだけは、しんどいと言う」なら、少し楽になる。家族でも、職場の同僚でも、支援担当者でも。「1人だけ」でいい。その1人に言えることが、再休職を防ぐ一番の安全装置になる。
これらは「強い人がやること」じゃない。再休職を経験した人が「次はこうしたかった」と教えてくれたことだ。
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## 「また壊れた」は、失敗じゃない
再休職は、あなたが弱かった証明じゃない。
もう一度、自分の限界のラインを確認できた、ということだ。
最初の休職では気づけなかった何かが、今回見えてきたかもしれない。それは「元通りを目指す」という誤解だったかもしれないし、「SOS出せる人がいなかった」ということかもしれない。
使い方が、まだ合っていなかっただけ。
あなたが壊れたんじゃない。
元通りを目指すのをやめたとき、本当の回復が始まることがある。
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あなたは今、何を目指していますか。
元通りの自分ですか。それとも——今の自分に合った、新しい働き方ですか。