― 理念ではなく「経営者の在り方」の問題 ―
先日、マーケティングの交流会で、ある方と話していて印象的な話を聞きました。
その方は、経営者にかなり近い立場で仕事をしている社員の方でした。
会社には立派なビジョンやバリューがあり、それに共感して入社してくる人も多いそうです。
ところが、離職率がかなり高い。
理由を聞いてみると、こう言われました。
「社長が追い込まれていて、 きつい号令ばかりかけるようになっているんです。」
つまり、社員からすると
理念と現場が一致していない
という感覚があるということでした。
人は理念ではなく「在り方」を見ている
会社の理念やバリューは、とても大切です。
しかし社員が日々見ているのは、ポスターに書かれた言葉ではありません。
経営者の言葉や行動です。
例えば、
• 人を大切にする
• 共創を大事にする
• 挑戦を応援する
といったバリューが掲げられていても、
現場では
• 強いプレッシャー
• 命令型のコミュニケーション
• 余裕のない号令
が続くと、社員はこう感じます。
「この会社は、本当にその価値観を大切にしているのだろうか。」
幻滅が起きる瞬間
ここで起きるのは単なる不満ではありません。
幻滅です。
なぜなら社員は、
「この会社の価値観に共感して入社している」
からです。
理念を信じて入った会社で、現実が違って見えると、
社員の中ではこういう感覚が生まれます。
「言っていることと、やっていることが違う。」
この瞬間に、信頼は大きく揺らぎます。
その後に起きるのが「価値観のズレ」
私はその場で、こんな話をしました。
会社には、
• 経営者の価値観
• 企業として掲げる価値観
• 社員一人ひとりの価値観
があります。
この3つがつながっているとき、組織は自然と力を発揮します。
しかし、
経営者の在り方と企業の価値観がズレると、社員との価値観の接続も崩れてしまう。
すると、どれだけ理念が立派でも組織文化として根付きません。
価値観統合が必要になる理由
多くの会社では、
• MVVを作る
• パーパスを定める
といった取り組みが行われています。
しかし本当に重要なのは、
言葉を作ることではなく、価値観を一致させることです。
経営者の在り方
企業の価値観
社員の価値観
これらがつながったとき、会社の言葉は初めて「文化」になります。
ブランドは言葉ではなく行動でつくられる
ブランドというと、ロゴやデザインを思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし本質はもっとシンプルです。
「この会社は、こういう在り方をしている」
という体験の積み重ねです。
社員にとっても、顧客にとっても、その中心にあるのは
経営者の在り方
なのだと思います。
まとめ
社員が辞めてしまう会社の多くは、
理念が悪いのではなく、
理念と在り方が一致していない
ことが多いように感じます。
そしてその一致が生まれたとき、価値観は組織の中で自然とつながっていきます。
それが結果として、
社員にも顧客にも伝わる本当のブランドになるのではないでしょうか。