■「広い家にしたはずなのに、落ち着かない」その理由とは?
家づくりやリノベーションのご相談を受けていると、こんな声を聞くことがあります。
「間取りは希望通りなのに、なぜか心地よくない」
「リビングの広さは十分だけど、どこか落ち着かない」
「窓から外が見えるけど、逆に視線が気になってずっとカーテンを閉めている」
これらはすべて、パーソナルスペースが適切に確保されていないことで起きる問題です。
家族との関係性、外の環境とのつながり、部屋同士の配置…。
私たちが本当に“安心してくつろげる空間”には、単なる広さだけではなく、「ちょうどいい距離感」=パーソナルスペースが欠かせません。
■「パーソナルスペース」とは何か?家づくりで考えるべき“心のゆとり”
パーソナルスペースとは、人が無意識に「これ以上近づかれると落ち着かない」と感じる距離のこと。
オフィスや通勤電車で聞いたことがあるかもしれませんが、実は住宅の設計においても非常に重要な考え方です。
例えば…
・隣の家との距離が近すぎると、外に出たときも気を遣う
・家の中で生活動線が交差しすぎると、家族であっても小さなストレスになる
・自分の居場所がどこにもないと、せっかくの家がくつろぎの場にならない
これらはすべて、「物理的な距離」だけでなく「心理的な距離感=心のゆとり」に関係しています。
■【事例①】隣家との“視線”がぶつかるストレス
都市部に多いのが、「窓が向かい合ってしまう問題」。
南向きの窓を設けたはずなのに、隣家のリビングと視線が直撃。
結果、昼間でもカーテンを閉めっぱなしにしてしまい、光も風も遮断される。
これは非常にもったいない例です。
こういった場合は、袖壁や目隠しルーバー、植栽などを組み合わせることで、視線を遮りながら採光・通風は確保することが可能です。
✅施工アドバイス
窓の高さを変える、窓の向きを斜めにするなどの設計テクニックも有効。
単純に「広い窓=正解」ではないのです。
■【事例②】家族間の“気配”が近すぎる
生活リズムが異なる家族が同じ家で暮らすと、「気配の干渉」が気になる場面が出てきます。
・洗面室と寝室が隣接していて、夜間の音が響く
・トイレの扉を開けるとすぐにリビングが見える
・動線が重なっていて、お互いに気を遣う
これは、空間の区切り方や配置の工夫で大きく改善できます。
✅設計アドバイス
例えば、ワンクッション置いた廊下、回遊できる間取り、曖昧に仕切る格子や家具。
これらをうまく活用することで、「近すぎず遠すぎず」のちょうどいい距離感をつくれます。
■【事例③】“自分の居場所”がないことの不安
テレワークや子育て、介護など、住まいの役割が多様になった今、
「自分だけの居場所」があるかどうかは非常に重要です。
・1人になれる空間、集中できるスペース、少し気を抜ける角。
必ずしも個室である必要はありません。
たとえばリビングの一角に本棚と椅子を置き、少し視線を遮るだけでも、
そこは立派な“自分のスペース”になります。
✅空間提案
間仕切り家具や観葉植物、照明の使い方で「心理的な区切り」を演出できます。
「広さ」より「切り取り方」が大切なのです。
■あなたの家はどうですか?パーソナルスペース簡易チェック
以下の質問に、いくつ当てはまりますか?
・隣家との窓が向かい合っている
・夜のトイレの音が気になる
・家の中に「1人になれる場所」がない
・家族同士でも、視線や気配が気になる瞬間がある
・常に誰かの気配がして落ち着かない
2つ以上当てはまる方は、パーソナルスペースの改善で暮らしが変わるかもしれません。
■図面では見えない“距離感”を、体感できます。
ここまで読んでくださったあなたが、もし今「これから家を建てよう」「間取りを見直そう」とお考えなら、
ぜひ試していただきたいのが 「3Dパースによる体感型の空間シミュレーション」です。
私たち「大工のおっちゃん工房」では、3Dで再現した住まいの中を実際に歩いて回れるソフトを使い、
距離感や視線の抜け、動線の交差などを事前に体感していただけるサービスを行っています。
👣「玄関を開けたとき、視線がどこまで届くか」
🚪「寝室の前を誰が通るのか」
🛋「ソファの周りにどんな“居場所”が生まれるのか」
こうした“感覚的な部分”こそが、暮らしやすさの本質です。
図面や静止画ではわかりにくい空間の“心地よさ”を、実際に歩いて体感することで、
完成後の後悔を防ぐことができます。
🎁 ご相談やシミュレーション依頼は随時受け付けております。
間取り図をお持ちであれば、それをもとに3Dパースでのご提案も可能です。
詳しくはプロフィールページをご覧ください。
■まとめ|「近すぎず、遠すぎず」の美学
家族の距離感、隣家との関係、部屋と部屋の配置——
住まいには、ただの“空間”以上に、人と人との関係性がにじみ出る場所です。
だからこそ、パーソナルスペースを大切にした設計は、
家族の関係や日々の安心感をつくる、大切な土台になります。
「広さがすべてではない」
「設計で心のゆとりは生まれる」
そんな視点で、一度ご自宅や計画中の住まいを見直してみてはいかがでしょうか?