お断りの連絡を送るのが怖かった時期のこと

お断りの連絡を送るのが怖かった時期のこと

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ビジネス・マーケティング
採用の仕事をはじめて1〜2年経った頃、不採用の連絡を送ることがずっと苦手だった。

送信ボタンを押すたびに、なんとなく胸が重くなる感じがあった。相手の顔も声も知っているのに(面接で一度会っているのに)、「これを受け取ったときどんな気持ちになるんだろう」とつい考えてしまって。送信前に何秒か止まることが多かった。

当時勤めていた会社のお断りメールは、いわゆるテンプレートだった。「このたびは弊社の求人にご応募いただきありがとうございました。慎重に検討した結果、誠に残念ながら〜」みたいなやつ。毎回コピペして、宛名と応募職種だけ変えて送る。業務として考えれば合理的なんだけど、送るたびになんか「これでいいのかな」というもやもやが残っていた。

ちゃんと届いてはいると思う。でも"伝わってるのかな"という感覚に近かった。

【ある日、お断りメールに返信がきた】

あるとき、不採用通知の返信をもらったことがある。

「ご連絡ありがとうございます。残念ですが、またご縁がありましたらよろしくお願いします」という一言だった。こちらがテンプレートで送ったお断りに対して、わざわざ丁寧に返信してくれた人がいた。

なんか、申し訳なかった。

その人がどれだけの準備をして面接に来てくれたのか、結果を待っていた日数がどれだけあったのか。そういうことをちゃんと想像できていなかったなと思って。うちは面接から結果通知まで1週間かかっていたから、その間もずっと待たせていたことになる。

「こっちが事務処理のように送った分、あちらはそうじゃなかった」ということに、その返信をもらってはじめて気づいた気がした。

【少しだけ変えてみた】

それから、お断りメールの文面を少しだけ変えた。テンプレートは使うんだけど、冒頭に「この度はお時間をいただきありがとうございました」という一文を足して、末尾も「またご縁がありましたら、ぜひよろしくお願いします」に変えた。

本当にそれだけ。大したことじゃないとわかってる。

でも、送るたびの気の重さが、ちょっとだけ変わった。「ちゃんと向き合った」という感覚が持てるようになった、という方が近いかもしれない。相手に届く印象が変わったかどうかは正直わからないけど、自分が少し楽になった。

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【向き合っている相手は全部、人なんだよなと思う】

採用の仕事をしていると、お断りをする回数が内定を出す回数よりもずっと多い。

10人面接して内定を出すのは1人か2人。100件応募があっても採用するのは数人。残りはみんなにお断りを送ることになる。これが現実で、採用担当はそれを毎月、毎週、繰り返している。

はじめた頃は、それをただの"作業"としてこなしていた部分があったと思う。処理しなければならないタスクとして。でも続けていくうちに、「このメールを受け取る人にも別の生活がある」という感覚が抜けなくなってきた。

面接前日に緊張して眠れなかった人もいるかもしれない。通勤に2時間かけて来てくれた人もいた。家族に「受けてきます」と言って出てきた人もいたかもしれない。

そこまで考えすぎても仕方ないのはわかってる。採用担当は感情移入しすぎたら疲れてしまう。でも、送信前に一瞬だけ止まる。「この文面で、いいかな」って確認する時間を持つようにしてから、なんとなく仕事の向き合い方が変わった気がしている。

採用って、数字の話に見えて、向き合っているのは全部人なんですよね。そんなことを考えながら、今日もお断りメールを送っています。

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