ワークライフバランス 例題
ワークライフバランスの実現について、あなたの考えを述べよ
次に、一般的に陥ってしまいがちな不足答案を提示します。一部に不具合があるため、それを添削することで、公務員として相応しい着眼点を養います。そして適宜、自分の構成メモも修正してみましょう。
これは、学生基準であれば合格レベルとされたかもしれません。しかし、社会人では減点される要素を多く含んでいます。さあ、採点者になったつもりで、この答案を添削し、何がダメなのかを考えてみましょう!
<旧来型不足答案>
少子高齢化の進行や人口が減少する中、長時間労働・残業などの日本の慣習が生産性低下の原因になっていると、働き方改革が求められている。平成 30 年の通常国会では、関連法案が審議された。この働き方改革と同様に、官民問わず働く者に求められているのがワークライフバランスの実現である。長時間労働や残業により心身に変調を来し、職員が休職してしまうことがある。しかし、これではかえって生産性を低めてしまい本末転倒である。 一人ひとりが最大限の能力を発揮するためにもワークライフバランスの実現は急務であり、まさに本市の喫緊の課題である。
かつてはワーク最優先であり、それによって心身に支障をきたしてしまうことが問題視され、近年ではワークライフバランスの充実が提唱されて久しい。しかし闇雲にワークライフバランスと仕事を制限させてプライベートに時間を費やせと言われても、何をやって良いかわからない者が多い。そこでワークライフバランスの実現のためには、まずはライフを確立させる必要がある。具体的には、カウンセラーを常駐させ、「自分にとって生き甲斐とは何か」と言う問いを考えるところからスタートしたい。生き甲斐を見つけることができれば、それはワークライフバランスの第一歩が実現したと言える。
では、生き甲斐が見つからない、もっと言えば、生き甲斐が仕事の場合はどうすれば良いのだろうか。仕事だけではダメで、他のことを見つける必要があるだろうか。私はそうは思わない。仕事が生き甲斐で、仕事だけをしていたい、そう言った人間は寧ろ健全ではないか。考えてみてほしい。自分のやりたい仕事をやっていたら、朝から晩までその仕事のことを考えていたとしても不思議ではないだろう。その場合は仕事がライフなのであるから、ワークライフバランスを実現していると言える。
現状として、ワークとライフを分ける考え方が主流であるが、ワーク自体を生き甲斐としている人間も多い。ワークライフバランスを無理に推し進めるのではなく、ワークのみと言う働き方も是認し、各自で選択できるようにすべきである。
<添削>
そこでワークライフバランスの実現のためには、まずはライフを確立させる必要がある。具体的には、カウンセラーを常駐させ、「自分にとって生き甲斐とは何か」と言う問いを考えるところからスタートしたい。生き甲斐を見つけることができれば、それはワークライフバランスの第一歩が実現したと言える。
→自己啓発を促しています。勿論、個人の内面を見つめることは各自にとっては重要ですが、個人の内面まで行政が踏み込むことは思想統制につながる恐れがあり、公務員の提案としては適切とは言えません。
では、生き甲斐が見つからない、もっと言えば、生き甲斐が仕事の場合はどうすれば良いのだろうか。仕事だけではダメで、他のことを見つける必要があるだろうか。私はそうは思わない。
→問いを投げかけるような書き方は、字数を無駄に消耗するため、端的に結論だけ述べるようにしましょう。
仕事が生き甲斐で、仕事だけをしていたい、そう言った人間は寧ろ健全ではないか。考えてみてほしい。自分のやりたい仕事をやっていたら、朝から晩までその仕事のことを考えていたとしても不思議ではないだろう。その場合は仕事がライフなのであるから、ワークライフバランスを実現していると言える。
→この考え方も一理ありますが、政府の推進する「働き方改革」の方針とは異なる見解であるため、公務員の論文としては相応しくありません。今後、フリーランスを中心に「ワークアズライフ」と言う働き方も注目されますが、「働き方改革」による是正で念頭に置かれているのは正規雇用の長時間労働です。よって、長時間労働を肯定する提案は現状ではあまり評価されません。
現状として、ワークとライフを分ける考え方が主流であるが、ワーク自体を生き甲斐としている人間も多い。ワークライフバランスを無理に推し進めるのではなく、ワークのみと言う働き方も是認し、各自で選択できるようにすべきである。
→ワークライフバランスを否定するのではなく、その次の段階を視野に入れる、と言う方向性が良いでしょう。「最終的には、ワーク自体を生き甲斐として活き活きと働ける環境が望ましい。よって、ワークライフバランスのみならず、ワークそのものをストレスフリーにしていく仕組みも必要である」と論を展開していきましょう。
(参考)例題模範解答例
1、現状の分析
少子高齢化の進行や人口が減少する中、長時間労働・残業などの日本の慣習が生産性低下の原因になっていると、働き方改革が求められている。この働き方改革と同様に、官民問わず働く者に求められているのがワークライフバランスの実現である。長時間労働や残業により心身に変調を来し、職員が休職してしまうことがある。一人ひとりが最大限の能力を発揮するためにもワークライフバランスの実現は急務である。
2、取り組みの提案
ワークライフバランス実現のためには、自治体は事業者として職員がワークライフバランスを実現できる取組みを行うとともに、広く社会に向けて広報・啓発を行う必要がある。具体的には、次の3点を行う。第一に、自治体職員の残業削減の取組みである。一般的な職場では、定時退庁しにくい雰囲気があることや、サービス残業が常態化しているとの指摘がある。このため、 ノー残業デーの設定、定時一斉消灯などの仕組みを制度化することが必要である。また、業務を効率的に執行できるよう、資料の簡素化や不必要な会議の廃止など、業務のあり方を抜本的に見直す。これにより、残業を削減することができる。
第二に、働きやすい環境の整備である。すべての職員が活き活きと働くためには、働く環境の整備も重要である。具体的には、フレックス制やテレワークなどの多様な就労形態の検討や、男性の育児休業取得率向上、介護者へのサポートなど、仕事と生活の両立支援に向けた取組みを行う。これにより、職員の状況やライフサイクルに対応することができ、ワークライフバランスの実現が可能となる。
第三に、市内事業者や市民への啓発である。市は、ワークライフバランスに関する指標を設定し、その指標を達成した事業者を表彰する制度を設ける。さらに、広く市民に対しては、指標を用いて各家庭で簡単にチェックできるようなパンフレット等を作成する。これにより、事業者や市民の意識を高めることができる。
一方で、ワークライフバランスのみに留まらず、最終的には「ワークのストレスとプライベートのライフとのバランス」という考え方から、住民各々がワークそのものに生き甲斐を感じられるような働き方になることが望ましい。そのためには、やりたい仕事へのマッチングサービスや正社員以外の働き方の支援など未来に向けての制度設計も必要である。