行財政運営 例題
効率的・効果的な行財政運営について、あなたの考えを述べよ
次に、一般的に陥ってしまいがちな不足答案を提示します。一部に不具合があるため、それを添削することで、公務員として相応しい着眼点を養います。そして適宜、自分の構成メモも修正してみましょう。
これは、学生基準であれば合格レベルとされたかもしれません。しかし、社会人では減点される要素を多く含んでいます。さあ、採点者になったつもりで、この答案を添削し、何がダメなのかを考えてみましょう!
<旧来型不足答案>
効率的・効果的と言うのは端的に言えば「無駄を省く」と言うことである。そのために住民満足度のアンケート結果や費用対効果を数値化し、費用の割に効果のない事業をどんどん打ち切りにすべきだ。そのためにも、まずは可視化である。一方的に行政側で事業の打ち切りを決めてしまっては住民側から異議を唱えられる恐れがある。よって、住民の税金がどのようなことに使われているのかを公開することで、住民自身の自浄作用により、無駄を削減すべしと言う声が挙がると言う流れが望ましい。すると「住民の要望により」と言う大義名分で事業を削減することができる。また、住民にとっても徒らに行政を頼る態度は自助自立を妨げる悪癖になりうる。多大な歳出をかけて住民を堕落に導くのは本末転倒である。「自分のことは自分で解決する」と言う自己解決の原則を掲げることで、大幅に歳出を削減できる。
一方で、歳入に関して言えば、税収のみに依存するのではなく、行政主体による事業展開や投融資による増収など、積極的な歳入確保の姿勢を打ち出すべきだ。具体的には、職員だけでは運用の知識に乏しいため外部のコンサルタントに委託してみる。他にも、企業を誘致して法人税の増収を図るのはどうだろうか。例えば、ベンチャー起業などの支援を充実して行政と一体で育成していくことで、長期的に法人税を増やす。また、ふるさと納税の活用なども有効である。これまでのように指を咥えて税収を待っているだけでは、必要な歳出分を確保することができない。今後は民間企業のように積極的に財源確保に乗り出すことが必要となる。私は社会人経験者としてこれらの財源確保に貢献したい。
<添削>
効率的・効果的と言うのは端的に言えば「無駄を省く」と言うことである。そのために住民満足度のアンケート結果や費用対効果を数値化し、費用の割に効果のない事業をどんどん打ち切りにすべきだ。
→「費用対効果」が良いものは行政が着手せずとも、民間企業が取り組みます。行政の役割としては、そこから抜け落ちた弱者支援や、100年の大計と言われるように、今は効果が薄いが未来を見据えて道筋を引く政策などが本義となります。本問では、その上で、その財源をどうするかを聞いています。
そのためにも、まずは可視化である。一方的に行政側で事業の打ち切りを決めてしまっては住民側から異議を唱えられる恐れがある。よって、住民の税金がどのようなことに使われているのかを公開することで、住民自身の自浄作用により、無駄を削減すべしと言う声が挙がると言う流れが望ましい。すると「住民の要望により」と言う大義名分で事業を削減することができる。
→小手先の責任逃れのようにも受け取られます。公開によって、多数派の要望で弱者切り捨ての事業削減につながる恐れがあり、住民の福祉と言う行政の本義が失われる可能性があります。
また、住民にとっても徒らに行政を頼る態度は自助自立を妨げる悪癖になりうる。多大な歳出をかけて住民を堕落に導くのは本末転倒である。「自分のことは自分で解決する」と言う自己解決の原則を掲げることで、大幅に歳出を削減できる。
→「行政が何もしない」と言うことを正当化しているようにも受け取られます。「何もしないことが自立を促す」と言う考え方にも一理ありますが、自助自立ができない人を救う最後の機関が行政の役割であるため、やはり救済を是とする方向で論じた方が良いでしょう。
一方で、歳入に関して言えば、税収のみに依存するのではなく、行政主体による事業展開や投融資による増収など、積極的な歳入確保の姿勢を打ち出すべきだ。具体的には、職員だけでは運用の知識に乏しいため外部のコンサルタントに委託してみる。
→行政は機密情報を多く抱えており、その根幹部分である財政を外部のコンサルタントに委ねるのは適切とは言えません。「意見を求める」程度に留めておきましょう。
他にも、企業を誘致して法人税の増収を図るのはどうだろうか。例えば、ベンチャー起業などの支援を充実して行政と一体で育成していくことで、長期的に法人税を増やす。
→どのような支援をするのか具体的な提案が必要です。
今後は民間企業のように積極的に財源確保に乗り出すことが必要となる。私は社会人経験者としてこれらの財源確保に貢献したい
→社会人経験者としてどのような貢献をするのかを具体的に説明しましょう。
(参考)例題模範解答例
1、現状の分析
現在、解決すべき課題は多い一方で、財政状況は厳しい。生産年齢人口の減少に伴い増収が見込めない中、高齢化に伴う社会保障費の増加、上下水道などのインフラ設備の老朽化など、今後の財政状況は予断を許さない。このように、財政状況が厳しい中で、山積する課題を解決するためには、効率的・効果的な行財政運営は必須である。
これまでも、行財政改革プランの実行など、効率的・効果的な行財政運営に努めてきた。しかし、依然として次のような課題がある。第一に、歳入確保の取組みが十分とは言えない。これまでも税の滞納防止のためコールセンターの設置、徴収員の確保などを行い、一定の成果を挙げてきた。しかしながら、税収増以外の歳入確保策については、あまり行われてこなかった。多くの自治体では、受益者負担の見直しなど、さまざまな歳入確保策を講じている。
第二に、市民の市政に対する認識が低いことである。効率的・効果的な行財政運営を実施するためには、自治体の取組みだけでは不十分であり、今後、さらに厳しい行財政運営が予想される中、市民の市政に対する意識を高めていく必要がある。
2、課題解決に向けての提案
以上の課題を解決するために、今後、次のような取組みを行う。第一に、市有財産の活用である。自治体によっては、ネーミングライツ、施設の壁面広告、印刷物への広告掲載など、さまざまな市有財産を活用して広告収入を得ている。現在は、公共スポーツ施設に企業名が付されていることも一般的になった。市として広告事業を検討するとともに、使われていない市有地の賃貸や、公共事業を民間事業者に委託するPFIなど市有財産を活用した歳入確保策に取り組んでいく。
第二に、住民や企業等との協働体制を構築する。これまで、審議会や委員会の委員は特定団体のから任命されていることが多かった。今後は、あらゆる事業についてワークショップを開催し、政策決定段階から多くの市民の意見を取り込む仕組みを構築する。また、事業提案制度を設けて、住民や企業等から事業を提案してもらい、 事業そのものを住民や企業等が実施できる制度を構築する。これにより、広く協働体制が構築できるとともに、意識改革を図ることもできる。