週に一度、現役声優の先生によるボイストレーニングを受けています。
そして、それとは別に毎朝、自主的な発声練習も続けています。
理由は明確です。
研修講師として、受講者の耳に届きやすい「声」を届けたいから。
そして、もうひとつ——「自分の声」をもっと深く掘り下げたいからです。
その日、トレーニングで使われた題材は、あるサッカー漫画のワンシーン。
物語の主人公は、かつて世界で活躍したスター選手。
いまはプロチームの監督として、成績不振に苦しむチームの立て直しを任されています。
そんな中、彼は苦しむ選手たちを鼓舞するため、現役復帰を宣言し、練習に参加します。
結果は散々。選手としてはすでに通用しない。
それでも、彼がピッチに立った意味は深かったのです。
「この舞台は、誰もが立てる場所じゃない」
「諦めた人の想い、支えるスタッフやスポンサーの気持ち、全てを背負ってここにいる」
「この幸せには、期限がある」
そのセリフを、私は声に出して読みました。
監督として冷静に伝えるべき場面と、選手だった頃の想いがにじむ場面が交錯し、
一見シンプルな台詞なのに、声にしてみると想像以上に複雑な感情が押し寄せました。
先生の見本を聞いたとき、耳が喜びました。
感情を"思考されたうえで"、技術として再現している声。
ただ感情的になるのではなく、届けたい思いを構造的に積み上げ、声に宿す。
これはまさに、研修講師として目指す姿と重なります。
漫画は「読む」ものですが、実は「感じる」ものでもあると改めて実感しました。
ページをペラペラとめくるだけでは届かない、作者の緻密な感情設計がある。
そしてそれを声にすることで、文字が立ち上がり、世界が深くなる。
言葉ではなく、「感情」を思考する習慣。
それは、漫画とボイストレーニングの両方から学んだ、かけがえのない贈り物です。