画面の向こうの、知らない声

画面の向こうの、知らない声

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コラム
夜、彼からLINEが届いた。

「今日さ、合唱コンクールだった」

続けて、動画が送られてきた。

私は、少しだけ迷ってから再生ボタンを押した。

画面の中で、
娘さんが緊張した顔で立っていた。

少し震える歌声。

その奥から、彼の声が聞こえた。

「大丈夫だって」

優しい声だった。

父親の声だった。

私は、スマートフォンを持つ手を、少しだけ強く握った。

彼には、帰る場所がある。

私は、そこにはいない。

動画の最後に、彼からメッセージが届いた。

「めっちゃ頑張ってた」

嬉しそうだった。

私は「よかったね」と返した。

それだけだった。

胸の奥が、静かに冷えていった。

昨日まで、あんなに揺れていたのに。

今日は、別の世界を見せられている。

私は、何を期待していたのだろう。


― 続く ―

こまで読んでくださって、ありがとうございます。

特別な言葉や出来事のあとほど、
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