管理栄養士としてがんの患者さんの最期を近くで看取る

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今日のブログは、特に、病院で働く管理栄養士さんにいただきたいと思って投稿しました。
 2021年に胃がんを発症した60代の男性の、病気になって深まった家族の絆
のお話です。

2020年11月頃からおう吐の症状があり、何度か近医を受診をされていたそうです。1月になってその症状がいよいよ悪化し、血液検査でも貧血の症状が進んで紹介されて来ました。その時はもう胃の出口の方ががんで詰まりかけていたので流動物を少ししか取ることが出来ませんでした。不足する栄養は、中心静脈栄養という高濃度の点滴を鎖骨下から入れて、何度か化学療法をしてがんを小さくしてから胃の下の2/3を切除しました。

退院してから、化学療法を行うことになりました。
外来では2~3週間に1回、検査の時間を含めて4~5時間位の時間を割いて化学療法に来院されます。私は入院中の流動物を召し上がっていた時から関わって、少しでも栄養が摂れる内容に、とサポートしていました。
外来でも化学療法へいらっしゃる時に栄養相談を重ねました。

この方は、車の修理の仕事をされていました。社長含め3名の職場だそうです。よい方達に恵まれて体力的にお辛い時も、最期の1か月前までお仕事をされていました。2024年11月頃、こんな体が辛くても仕事に行っているんだ、と誰もが思うほど、一見で体調が悪いのが分かる程で化学療法は出来ない体調になっていた時にも仕事へ行っていました。入院する前の日に仕事を早退し、腹痛が強く入院されてきました。
職場の方からは「目が黄色いよ」と言われていたそうです。

体調を整えて、また化学療法に挑み、仕事へ復帰する心つもりでいた入院でした。

その最期となった入院期間は1か月でした。
今日はその最期の入院のことを書きますね。

体調が悪くなって、胃を切った時まで10㎏、化学療法中に3~4㎏位の減少がありました。入院直前の1か月でさらに5㎏位減少し、BMI17位になっていました。入院してからは、飲み物を少し飲んだり、一度エクレアを食べたいとおっしゃったので差し入れして食べたことはありましたが、ほぼ経口摂取は出来ない状況でした。ドリンクを飲むのをお手伝いしたり、口腔内乾燥がある時はジェルを塗る、話を聞かせていただくこと位しかできませんでした。
緩和ケアチームでの回診でも訪室しました。緩和ケアチームは主に痛みや倦怠感のコントロール、ご家族のケアをしていました。
離婚されていましたが、子供さんがお2人、90代のご両親と3人で暮らしていました。子供さんとお孫さんのお話しは、化学療法をしていた時も聞いてはいましたが、お会いしたことはありませんでした。

今でもコロナのせいで、病院での面会は時間制限、人数制限がされています。
がんだけではなく、高齢の認知症の患者さんもご家族が来ないと認知機能の低下が著しいです。早く感でも染症が収まればよいですが、今年はコロナだけでなく、インフルエンザも猛威を振るっていますね…。

話がそれましたが、最期が近い患者さんはご家族の面会が緩やかになります。
最期の2週間位は、毎日娘さんと息子さん、お休みの日はお孫さんも来院されていました。ご本人はもう話すことも、目を開けることもありません。
足が日に日に浮腫んでいきました。でも、呼吸状態は悪くなく、血圧も安定していました。そんな本人を囲んで家族水入らずの時間を過ごされていました。

ある時、息子さんが化学療法室ってどこにあるんですか?どんな感じでするんですか?何時間位するんですか?など質問をしてくださいました。
お父さんの治療に興味を持ってくれていたんだ、とても嬉しい気持ちになり、何時頃来て、こういう感じで~とか、その方と話した思い出話や、息子さんと娘さん、お孫さんのことも色々話してくれていましたよ、とお伝えしました。
外来の看護師さんとは何年も治療してきたため、顔なじみ。がん疼痛の専門看護師さんが療法室を紹介してくれました。

 娘さんから「がんになって父親は生き直したんだと思います」という言葉を聞きました。病気になる前は、家族関係は希薄で、父親に対してはいい感情は持っていなかった、ということでした。医療従事者は、病気になってからの本人しか知ることはないですが「病気になる前は鬱っぽかった、鬱だだったと思います。ただ仕事へ行って帰ってお酒を飲むだけの日々だったように見えた」と、とてもその方からは、想像も出来ない姿でした。

病気になって自暴自棄になったり、鬱になる方はいらっしゃるし、元々エネルギッシュな方が意欲的に治療に取り組む姿は見たことがありますが。

「病院に来るのが楽しそうだった」との言葉も。
確かに楽しみにしている様に見えましたし、私達も元気に治療に来てくれるのを楽しみにしていました。

しかし、治療は何年にも及びますし、過酷です。
味覚障害もひどく、治療で来院する度、2人で話合いました。

「病院に来るのが楽しそうだった」「病院に来るとみんなに大切に扱ってもらえて、心地よかったんだと思います」とご家族が安心しているお言葉を聞けて
嬉しく思いました。

心のつながりは、つらい治療に来ることが「楽しみ」になり「生きたい」という源になることがあるんだな、と温かい気持ちになりました。
「チームで患者と関わってくれている感じがする、安心します」というお言葉もいただきました。ご家族がそう思ってくださることは、何にも代えがたい最期の想い出になるのではないかな、とありがたく感じました。

その方は、最期今日はもう…っていう日を何日も過ごしました。
きっと最期ご家族との時間を取り戻すかの様に何も言わない、目も開けない
けれども「まだここにいたい」出来るだけ永くこの時間を楽しんで、自分の意思で旅立つて行かれたのではないかな…と感じました。

精一杯治療をして、家族の絆まで取り戻せた。
その方らしい最期に感動しました。
たまに思い出すと思います。

がんの患者さんは最期、食べられなくなる方が多いです。
管理栄養士としてこの方の人生のお役に立てることはなんだろう?

それは、少しでも早く関わりを持ってその人を知ること、元気な時はどんな方だったんだろう?何が好きなんだろう?趣味はなに?ご家族は?仕事は?
って出しゃばりすぎはダメですが(笑)

食べることにフォーカスしすぎず。
答えは当たり前のことでした。
人と人のつながりですね。





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