実家への帰省が憂うつなのは親不孝?|アダルトチルドレンが心と親への思いを整理する5つの方法

実家への帰省が憂うつなのは親不孝?|アダルトチルドレンが心と親への思いを整理する5つの方法

記事
コラム
実家への帰省が決まると、
楽しみより先に憂うつを感じる。

親の顔色や、聞かれたくない質問を想像し、
帰る前から心も身体も疲れてしまう。

本当は帰りたくない。
けれど、そう思う自分は親不孝ではないか。

親に感謝しているからこそ、
苦しさを誰にも言えない方もいるでしょう。

実家へ戻ると、子どもの頃の自分に
戻ったように感じることもあります。

この記事では、帰省が憂うつになる理由と、
心と親への思いを整理する方法を紹介します。

自分に合う帰り方を選び、
親とどう関わりたいかを考えるための5つの方法です。

親を悪者にして終わるためでも、
我慢して帰省するためでもありません。

自分の心を守りながら、

これからの親との関係を考えていきます。


実家への帰省が憂うつになるのは親不孝だからではない

実家が安心できる場所とは限らない

「実家に帰ると、ほっとする」

実家は、そのような場所だと思われがちです。

しかし、子どもの頃から親の機嫌を読み、
怒らせないように過ごしてきた方にとって、
実家は安心して休める場所とは限りません。

親の声や足音を気にする。
家族の空気を壊さないように振る舞う。

その緊張を身体が覚えていると、
帰省しただけで昔の感覚が戻ることがあります。

大人になった今も苦しくなるのは、
あなたの性格が弱いからではありません。

長い間、自分を守ってきた反応が、
実家で再び表れている可能性があるのです。

親の前では、昔の役割に戻りやすい

普段は自分の意見を言えるのに、
親の前では言葉が出てこない。

断りたいのに、笑って引き受ける。
嫌なことを言われても、黙ってしまう。

親を前にすると、無意識のうちに、
子どもの頃の役割へ戻りやすくなります。

* 親を怒らせない子
* 期待に応える子
* 家族を心配させない子
* 自分より周囲を優先する子

帰省後にどっと疲れるのは、
この役割を守り続けているからかもしれません。

アダルトチルドレンと帰省の苦しさ

アダルトチルドレンは、
医学的な診断名ではありません。

子どもの頃の家庭環境や親子関係が、
大人になった後の生きづらさに
影響している状態を表す言葉です。

親の反応を気にして、本音を抑えてきた方は、
帰省をきっかけに昔の感情が戻ることがあります。

「私はもう大人なのに」と責めるより、
「昔の私が身を守ろうとしている」と考える。

私たちは、何歳になっても親の前では
子どもに戻ってしまうものです。

それだけでも、苦しさとの向き合い方は変わります。

私が親との関係を見つめ直して気づいたこと


子どもの頃、私は両親を恨んでいた

私の子ども時代には、
父からの暴力がありました。

父が帰宅すると逃げ、
鍵のかかる場所に隠れていました。

助けてくれない母のことも恨み、
「すべて両親のせいだ」と
思っていた時期があります。

母との間にも、忘れられない記憶があります。

幼い頃、バスの整理券が珍しくて、
停車するたびに何枚も取って遊びました。

運転手さんに注意されると、
母は私を連れて謝ってくれました。

母の言葉は、
「もうしないでね」と穏やかでした。

けれど、握る手は強かった。
そして、聞こえてきた、ため息。

私はその態度から、
「失望された」
「いつか見限られる」と感じました。

失敗したら、愛されなくなる。

その思いは、親の顔色を読む癖や、
人に頼れない生きづらさにつながりました。

けれど、大人になった今は、
あのときの母の気持ちも想像できます。

母は私に失望したのではなく、
目を離した自分を
責めていたのかもしれません。

子どもの頃に感じた悲しさは本物です。
今さら、なかったことにはできません。

ただ、大人になった自分の目で見つめ直すと、
当時は見えなかったものに気づくことがあります。

親になって、親への見方が変わった

私の見方が大きく変わったのは、
自分が親になってからでした。

息子が小学校でいじめられるようになりました。

私は余裕を失い、息子に毎日のように怒り、
4年生の頃、息子はいじめを苦に家出をしました。

「家に帰りたくない」と言われたとき、
私は自分が大嫌いだった父と同じことをしていたと、
やっと気づいたのです。

息子を変えるのではなく、
まず私が変わろう。

そう決めて、息子の気持ちを優先し、
帰宅した息子に心から謝りました。

子どもを育てる中で、
親の怒りの奥にある不安も知りました。

困らないでほしい。
将来、つらい思いをしてほしくない。

愛しているからこそ、心配が強くなり、
怒りとして出てしまう。

私は親として、
完璧な存在じゃなければいけないと思っていました。

でも、親もかつては子どもであり、
親であっても、不完全な存在だと気づいたのです。

もちろん、暴力や人格を否定する言葉まで、
愛情として受け入れる必要はありません。

ただ、自分の怒りの奥を見つめたことで、
親の行動だけでなく、その奥にある感情も
考えられるようになりました。

傷つけた行動と、その奥にあった思いは、
分けて考える必要があるのです。

苦しかったことと愛情は両方あっていい

私は、傷ついた事実を認めたうえで、
両親から受け取ったものを見直しました。

結婚を喜んでくれたこと。
妊娠中、父が送り迎えをしてくれたこと。

父が孫を心からかわいがってくれたこと。
息子の家出を母が誰より心配してくれたこと。

恨みで見えなくなっていただけで、
そこには確かに愛情もありました。

親のすべてを許したから、
そう思えるようになったのではありません。

苦しかったことと、愛されていたこと。

私の中には、両方があったのです。

この経験から、親への気持ちは、
一つに決めなくてよいと気づきました。

両方の思いを、そのまま認めてあげる。
私は両方を見られるようになったのです。

ここからは、帰省の前後にできる
5つの方法を紹介します。

心と親への思いを整理する5つの方法


1.帰省が苦しい自分を親不孝と決めつけない

「帰りたくない」という感情と、
「私は親不孝だ」という判断は別のものです。

親に感謝していても、
会うと苦しくなることはあります。

「育ててもらったのだから」
「親も年を取ったのだから」

そう考えて、
自分の苦しさまで否定していませんか。

まずは、帰省を考えたときに、
どのような気持ちになるのかを見つめます。

嫌だ。怖い。緊張する。
また我慢するのがつらい。

どのような感情が出てきても、
自分まで否定しないことが第一歩です。

2.自分を守れる帰り方を選ぶ

帰省するか、しないか。

二つの選択肢だけで
考える必要はありません。

* 滞在時間を短くする
* 日帰りにする
* 実家ではなくホテルに泊まる
* 帰る時刻を先に伝えておく
* 今回は電話だけにする

聞かれたくない話題があるなら、
返答もあらかじめ用意できます。

「今はまだ決めていないよ」
「その話は、また今度ね」

親を拒絶するためではありません。

無理なく関われる距離を選ぶことは、
関係を続けるためにも必要です。

これまで毎回我慢してきたなら、
今回は一つだけ変えてみてください。

帰る時刻を決める。
それだけでも構いません。

3.帰省中と帰省後の安心を用意する

実家そのものを急に変えることは困難です。

だからこそ、実家にいても
いつもの自分へ戻れる行動を用意します。

* 好きなコーヒーを入れる
* いつものアロマを持っていく
* 一人で近所を散歩する
* 温泉へ行く時間をつくる
* 好きな本や音楽に触れる

「これをすると少し落ち着く」と
思えるものを一つ決めておきます。

帰省中だけでなく、
帰宅後の安心も大切です。

帰った日は予定を詰め込まず、
自宅でゆっくり過ごす。

好きな食事や飲み物を用意し、
一人になれる時間を確保する。

自宅に戻ってほっとできたなら、
そこが今のあなたの安心できる場所です。

「私はもう、あの頃の子どもではない」

疲れ切って帰ってきたとしても、
自分の生活へ戻ることで、今の自分を取り戻せます。

4.親から受け取った愛情や幸せを一つ見つける

帰省すると、嫌だった言葉ばかりが
心に残ることがあります。

その苦しさを否定せず、
過去に、親にしてもらったことも思い出してほしいのです。

* 食事を用意してくれていた
* 薬を買ってきてくれて、体調を気遣ってくれた
* 学校用の筆記用具を準備してくれていた
* 宿題で困ったときに教えてくれた
* 学校から帰る場所や家があった

帰省した今だからこそ、気づくこともあるかもしれません。

大きな感謝でなくても構いません。

「こんなこともしてくれた」と
思えることを一つ探してみます。

ただし、傷ついた経験を押し込めて、
感謝をひねり出す必要はありません。

何も思い浮かばないなら、
今はまだ探さなくてもいいのです。

私は親になってから、
親の役割について考えるようになりました。

子どもが小さいうちは、
子どもを守りながら、いつか自分の力で生きられるように支えてあげること。
そして、子どもが成人してからは、
子どもが社会に出て一人で生きていけることを信じて見守ること。

いつも優しく構うことだけが、
愛情とは限りません。

距離を置くことや厳しく伝えることにも、
親なりの願いがあったのかもしれないのです。

子どもの頃には分からなかった思いを、
今の自分だから受け取れることもあるでしょう。

私自身も、両親の厳しさの奥に、
当時は見えなかった願いがあったと気づきました。

あなたも、今の自分だから受け取れるものがないか、
一つだけ、探してみてください。

それが、親との関わりを楽にしていく第一歩になるでしょう。

5.親への気持ちを一つに決めない

感謝している。
けれど、会うと苦しい。

愛情を感じる一方で、
怒りや寂しさも残っている。

どちらかを消す必要はありません。

親を好きか、嫌いか。
許すか、許さないか。

すぐに答えを出さなくてもよいのです。

親への気持ちは、
一つの言葉では整理できません。

矛盾する思いがあると認めることで、
自分の本音が少しずつ見えてきます。

「今のあなたは、そのままでいい」
そう認めてあげてください。

親の言葉は、降り積もる雪に似ている


子どもの頃、親の言葉は、
冷たく感じることがあります。

責められた。否定された。
分かってもらえなかった。

その瞬間には、言葉の奥にある思いまで
受け取れないこともあるでしょう。

親の言葉は、降り積もる雪に似ています。

降ったばかりの雪に触れたときは、
その冷たさしか分かりません。
そして、すぐに消えてしまいます。

けれど、人生の経験が重なり、
自分も同じ現実に向き合ったとき、
初めて見えてくる意味があります。

あの厳しい言葉の奥には、
一人で生きてほしいという願いが
あったのかもしれない。

あのときのため息は、
私への失望ではなかったのかもしれない。

これは、すべての親の言葉に
愛情があるという意味ではありません。

私は大人になってから、
自分が受け取った言葉を見つめ直しました。

子どもの頃の受け止め方を責めず、
今の自分の視点も重ねてみる。

すると、親への思いだけではなく、
自分の生きづらさの見え方も変わります。

残された時間を、私はどう過ごしたいのか


親と過ごせる時間には限りがあります。

これは、不安をあおるためでも、
無理に帰省を勧めるためでもありません。

けれど、避け続けている間にも、
時間が過ぎていくことは事実です。

母が余命宣告を受けたとき、
私は母の看病を手伝いに行きました。

母はそのたびに、
「迷惑をかけてごめんね」と言いました。

けれど、私にとっては、
母のそばにいられることが幸せでした。

残された時間を一緒に過ごせることが、
何よりも大切だったのです。

私は母に伝えました。

「やってあげたいから、やっているんだよ」
「何でも言ってね」

それから1か月後、母は亡くなりました。

母の日記には、
娘が手伝ってくれたことへの感謝が
書き残されていました。

私は今も、本当に関われてよかったと
思っています。

親に、あと何回会えるのでしょうか。

この問いは、罪悪感から帰省したり、
無理に親を許したりするためのものではありません。

これから親と、どのように関わりたいのか。
自分の本音を確かめるための問いです。

「本当は、関係を変えたい」

心のどこかでそう思っているなら、
避け続けるだけでは何も変わりません。

今回の帰省で、
すべてを解決する必要はないのです。

親の思いやりを一つ見つける。
伝えられるなら、感謝を一つ伝えてみる。

長く話せないなら、
顔を見て帰るだけでも構いません。

まずは、自分にできる関わり方を
一つ試してみてください。

小さな行動でも、
その後の親との時間は変わり始めます。

まとめ|苦しさも感謝も否定しなくていい


帰省が憂うつになることには、
あなたなりの理由があります。

自分を親不孝だと決めつける前に、
次の5つを試してみてください。

1. 帰省が苦しい自分を親不孝と決めつけない
2. 自分を守れる帰り方を選ぶ
3. 帰省中と帰省後の安心を用意する
4. 親から受け取ったものを一つ見つける
5. 親への気持ちを一つに決めない

苦しかった経験を認めながら、
親から受け取った愛情にも目を向ける。

それは、親のためだけではありません。

過去の見方だけに縛られず、
これからの関係を選ぶためでもあります。

子どもの頃には見えなかった親の思いを、
今の自分なら見つけられるかもしれません。

何も感じられないなら、
無理に感謝する必要はありません。

けれど、心のどこかに
「本当は関係を変えたい」という思いがあるなら、
その気持ちまで諦めないでください。

帰る時間を短くする。
親の話を一つ聞いてみる。
感謝を一つだけ伝える。

できそうなことから、
まず一つ試してみましょう。

苦しさも、怒りも、感謝も、
すべてあなたの大切な気持ちです。

どれも否定せず見つめることが、
生きづらさを和らげる一歩になります。

親への複雑な気持ちを、否定されずに話したいときは


親に感謝しているのに、会うと苦しい。
距離を取りたいのに、罪悪感もある。

「答えを出したいわけではない」
「今の気持ちを誰かに聴いてほしい」

そんなときは、うまく整理できていなくても、
そのままお話しください。

共感と傾聴を大切にしながら、
どのような気持ちも否定せずお聴きします。

正論や価値観を押しつけることも、
無理に親を許すよう促すこともありません。

1分から利用できる電話相談です。
話したいところから、ゆっくりお聴きします。

【1分から、親への複雑な気持ちを話してみる】


「私が悪い」と責め続けてしまう方へ


「帰りたくない私は親不孝かもしれない」
「私が我慢すればよかった」

帰省について考えるたびに、
自分を責め続けてしまう方もいるでしょう。

そのような自分責めが止まらない方には、
自分責めに特化した電話相談もあります。

気持ちと出来事を一つずつ分けながら、
責めずに一緒に整理します。

【止まらない自分責めを一緒に整理する】
親への気持ちは、
すぐに整理できなくても大丈夫です。

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