前回の「工数」と並び、工場に勤める方には知って頂きたい、「ボトルネック」を理解することにします。
ボトルは皆さんが好きなウィスキーのボトル、ネックはハイネックでお馴染みの首を指します。
つまり、ウィスキーがボトルから出る量は、ボトルの最も細い部分の直径で制約され、それ以上の量は排出できません。
このことから、「目標達成を阻害(制約)している最も大きい要因」のことをボトルネックというので、この言葉は工数と併せて押さえておきましょう。
ボトルネックと工数の2つは、私が講師を務める新入社員研修では、なるべく(依頼元の企業様の意向次第で調整)教えるようにしている言葉です。
その理由は、お客様や取引先から見ると、ベテランも新人も同じであり、新人でも最低限の知識が備わっていないと、先方にご迷惑を掛け、自身は恥をかくこともあるからです。
そのために、決して十分ではなくとも、工数とボトルネックの2つには触れておいて欲しいのです。
さて、事例を使ってボトルネックの理解を深めます。
前回は工数を理解しましたが、先月の工数で、最も大きなロス工数がボトルネックになります。
製品を造る工数(実工数)は全体の75%だったとすると、それ以外の25%(4分の1)はロス(損出)になります。
朝礼、清掃、設備停止、品種替えに伴う段取時間などの非実工数で25%を占めるということです。
ここで5Sを思い出しましょう。
整理とは「必要なモノと、不要なモノを分ける」です。
それでは、必要な工数と、不要な工数に分けてみましょう。
75%を占める、製品を造る工数(実工数)が必要な工数になり、
25%の非実工数が不要な工数になります。
整理の続きは「不要なモノは処置を取る」なので、この考え方に従って、25%に相当する非実工数=無価値を減らします。
そして25%の中を更に分析し、先程の朝礼、清掃、設備停止、品種替えに伴う段取時間の中でどれが最も大きいかを調べます。
そこで前回の工数が役立ちます。
朝礼、清掃などがそれぞれどれくらいの工数を費やしたのかは、工数によって定量化=数値化できるのです。
仮に最も大きい数値が設備停止だとしたら、そこを課題として集中的に改善すれば、小さな力で大きな成果が得られる可能性があり、大きな原価低減が期待できます。
これは皆さんの家計でも同じで、電気代、水道料金、交際費、通信費、食費の中で、どれが一番多くを占めるのかを知り、そこを改善すれば大きな成果が期待できます。
その、最も多くを占める要素をボトルネックと言い、そのことを知り、そこから改善するのが基本的な改善手順になります。
但し、効果を得やすい所から改善したり、秘策があるところから改善することも有益なので、必ずボトルネックからという訳ではありません。
しかし、多くを占めるボトルネックから着手するのが王道なので、ここは押さえておきましょう。
では、皆さんの会社及び職場で、「原価を低減する」という目的に対して、最も大きな阻害要因=ボトルネックは何ですか(どこですか)?
先ずはボトルネックをハッキリさせ、ボトルネックから改善しましょう。
更にもうひとつ、押さえておいて欲しいことがあります。
ズバリ!改善が進んでいる会社(職場)はボトルネックが変わりますが、進んでいない会社は3年も5年もボトルネックは変わりません。
自動車が渋滞する地点をボトルネック(目的地に早く到着するという目的を阻害する最も大きな要素)とすると、過去何年もこの地点が渋滞してボトルネックになっているような、慢性的渋滞です。
私の様な専門家は「ボトルネックが変化しているか」という視点で会社や工場を見れば、改善活動の活性度がわかるのです。