これ迄に、原価低減の必要性と正しい原価低減の進め方、更には「24のムダ」を記述して参りました。
今回は、工場で仕事をする方には、全員に知って頂きたい、「工数」について触れようと思います。
「工数」を使うと、現状の問題点の大きさが定量化でき、また改善後の効果も定量的に掴めるようになるので、工場では「工数」を使うと便利なことが多くあります。
建設現場などでは「人工(にんく)」を使いますが、工場では工数で管理されることが一般的です。
人工は、1日とか半日単位で使いますが、
工数は、分または時間単位です。
例えば、幼児のお迎えで社員が1時間早く帰宅しても、今日の就労時間を出したい時に「工数」を使えばカンタンです。
また、自部門に1人は2時間で、もう1人は3時間の応援が来た場合には、合計6時間に相当するマンパワーを得たことは、「工数」使えばスグ計算できて便利です。
例題を使って工数の説明を続けます。
在籍人員 10名
稼働時間 8H←1時間は1Hourなので、そのH
10名で8H働くと、1日に使った工数は
10名 ✕ 8H = 80H/日 です。
これを、年間稼働日数を250日と仮定すると、以下になります。
80H/日 ✕ 年間250日 = 20,000H/年
ここから10%改善しようと目標を立てたと仮定すると、
20,000H/年 ✕ 10% 2,000H/年
となり、年間で2,000H相当の工数減が目標値になります。
この時間って何円になるのか?
それがわかれば、1年間で原価を低減する目標値が出ます。
そのために、自社の労務費単価(または賃率)を知ることです。
皆さんは、自分の会社または職場の労務費単価を知っていますか?
会社と職場で、違う単価を使う場合があるので、自社の方針に従えばOKです。
労務費に関する原価を低減するならば、知って欲しいと考えます。
知らないことは問題ありません。知らないことは知ればいいのです。
この場では、仮に1H=3,600円とします。
これは1秒=1円、1分=60円と同じことです。
先程の目標値:年間2,000Hとは金額にするとどうなるか。
2,000円 ✕ 3,600円/H = 7,200,000円/年
つまり、10名のチームで毎日定時退社、年間250日稼働とし、10%改善すると、年間で720万円の原価低減になるのです。
10%と言われた時と、720万円とわかった時の認識に、差があることが多く、金額化することで社員の姿勢がプラス方向に変わると感じています。
さて、年間のコスト計算までお付き合い頂きましたが、「工数」をご理解いただけたでしょうか。
会議に1分遅刻すると、10名の会議の場合は、10分のロス工数発生になるのです。
「1分遅刻してスミマセン」ではなく、工場では、
「10分の工数をムダにしてスミマセン」となります。
この遅刻が年間250日毎日発生するとどうなるのか?何円か?
こんな感じで、皆さんが知りたい工数と費用を、知りたいだけ算出できます。
工数を使うと、何ができるのか。
最初に、過去のロス分析が出来ることを挙げます。
先月は、どんな目的で、どれくらいの工数を使ったのか、つまり工数の使途を把握することが可能です。
但し、そのためには毎日、どんな目的で、どれくらいの工数を使ったのかの記録を残すことが必要になります。
これは特別なものではなく、皆さんの家計簿と同じで、上手くやりくりしたい(支出をコントロールしたい)と思う方は、主体的にやっています。
次に、改善後の大きさが定量化できる点を挙げます。
先程は年間の目標値(工数と金額)の計算をお付き合い頂きましたが、改善した後の効果も工数を使うとバッチリです。
詳細は別の記事でご紹介しますが、以下が基本公式です。
改善効果金額 = 削減した工数 ✕ 労務費単価
最後に、社外に仕事をお願いする時にも工数を使うと便利で、仕事の大きさを定量化し、自社と取引先との認識を近いものできるのです。
曖昧さや大雑把は取引が揉める元となるので、できるだけ客観的に掴むことで円滑に進めましょう