「売上は伸びているのに、なぜか預金残高が減っていく」
成長中の会社で、この現象は珍しくありません。売上を計上してから実際に入金されるまでには時間差があり、その間にも仕入代金、外注費、人件費、家賃、税金などの支払いが先に来るためです。
売掛金は回収されるまで手元資金ではありません。売上債権の回収期間が長くなるほど資金繰りへの負担は大きくなります。売上高だけで安心せず、「いつ請求し、いつ入金され、いつ支払うのか」を一つの時間軸で確認することが大切です。
今回は、入金サイトを資金繰りへ反映する4ステップを整理します。
1.請求締日と入金条件を取引先別に並べる
まず、主要な取引先ごとに、請求締日、請求書の発行日、入金予定日を一覧にします。
「月末締め・翌月末払い」と「月末締め・翌々月末払い」では、同じ売上でも現金になる時期が1か月違います。検収完了が請求条件の取引では、納品日だけでなく検収予定日も必要です。
売掛金台帳には、取引先名、請求額、請求日、回収予定日、実際の入金日を記録します。これにより、請求漏れ、回収漏れ、恒常的な入金遅延を見つけやすくなります。
2.売上月ではなく入金月へ置き換える
次に、月別売上をそのまま資金繰り表へ入れず、回収条件に従って入金月へ振り替えます。
たとえば、6月の売上300万円が「月末締め・翌々月末払い」であれば、入金は8月です。7月に仕入、外注費、人件費など合計240万円を支払い、ほかの入金や期首残高を考えない単純な例では、7月だけで240万円を先に用意する必要があります。
さらに7月の売上が増えれば、関連する仕入や外注費も増えやすく、入金前に必要な運転資金は大きくなります。売上増加がそのまま資金増加になるとは限らない理由です。
【図】入金サイトを資金繰りへ反映する4ステップ
3.支払予定日と同じ時間軸で比べる
入金予定だけを見ても、資金不足の時期は分かりません。仕入代金、外注費、給与、社会保険、税金、家賃、借入返済などを実際の支払月へ配置します。
特に、月末へ支払いが集中する会社では、月末残高だけでなく途中日の最低残高も確認したいところです。入金が1週間遅れた場合、予定していた支払いをすべて実行できるかも試算します。
4.最低残高から必要運転資金を計算する
資金繰り表で最も残高が低くなる日または月を確認し、安全余力を加えた金額を必要運転資金として整理します。
改善策は一つではありません。請求書の早期発行、検収手続きの前倒し、回収予定日の確認、前受金や分割請求の相談、支払条件の見直し、手元資金の確保などを組み合わせます。取引条件の変更は相手先との関係にも影響するため、実行可能性を見ながら進めることが重要です。
まず確認したい3つの質問
・売上上位5社の請求締日と入金予定日を説明できますか
・入金と支払いの差が最も長い取引はどれですか
・主要な入金が1週間遅れても、最低限の支払いを続けられますか
一つでも答えに迷う場合は、売上予測だけでなく入出金予定を月別、必要に応じて日別へ落とし込むと、資金不足を早めに把握しやすくなります。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、融資・資金調達・業績改善などの結果を保証するものではありません。個別の契約、法務、税務、会計判断は、内容に応じて各専門家へご確認ください。
参考
・J-Net21「資金繰り改善のための財務・資本戦略」
https://j-net21.smrj.go.jp/solution/handbook/finance/capital.html
・日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」
https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/sikinguri_rei.pdf