「資金繰り表を作ったのに、月末の預金残高が予測と合わない」
このようなとき、表を作り直すだけでは原因が残ります。大切なのは、予測と実績の差を分解し、次月以降の前提へ反映することです。
資金繰り表は、一度作って終わる資料ではありません。予定と実績を並べることで、現金収支の傾向や問題点をつかみ、将来の残高予測を修正するための管理表です。
今回は、資金繰り予測が外れたときに毎月確認したい4つの差異を整理します。
1.期首残高の差異
最初に確認するのは、当月の期首残高です。前月の予測上の月末残高と、実際の預金残高が一致していなければ、その後の計算もすべてずれます。
預金口座が複数ある場合は、口座ごとの残高を合計します。手元現金を含めるルールなら、毎月同じ範囲で集計します。未記帳の振込、カード引落し、借入返済、口座間振替を二重計上していないかも確認します。
まず「前月から持ち越した差」と「当月に発生した差」を分けることで、原因を追いやすくなります。
2.入金の差異
次に、予定していた入金と実際の入金を取引先別に比べます。ここでは、金額の差と時期の差を分けることが重要です。
たとえば、売掛金80万円が未回収でも、翌月に入金予定が確認できていれば、売上消失ではなく入金時期のずれです。一方、値引き、返品、請求漏れなどによる減額は、金額そのものを修正する必要があります。
入金差異は「未請求」「請求済み・未入金」「入金予定日の変更」「売上金額の変更」に分けると、営業担当者とも共有しやすくなります。
3.支払いの差異
支払いは、仕入や外注費だけでなく、給与、社会保険、税金、家賃、カード決済、設備購入などを確認します。
予測より支払いが増えた場合は、単発か継続かを分けます。急な修繕費30万円は一時的ですが、毎月の外注費が予測より20万円多い状態が続くなら、翌月以降の前提も20万円ずつ見直す必要があります。
反対に、支払いが翌月へずれただけなら、当月残高は増えて見えますが、将来の支払い義務は残っています。「払わなかったから余裕が増えた」と判断しないことが大切です。
【図】資金繰り差異を見直す4項目
4.借入と返済の差異
借入実行日、借入額、元金返済、利息支払いも、経常収支とは分けて確認します。
融資実行が予定より遅れた場合、入金時期がずれるだけでも最低残高は大きく変わります。また、借入元金の返済は現金を減らしますが、損益計算上の費用とは異なるため、資金繰り表へ直接反映する必要があります。
返済予定表と通帳を突き合わせ、今後の元金と利息を月別に更新します。新規借入を前提にしている場合は、実行未確定の資金を確定入金と同じ扱いにしないよう注意します。
差異を次月以降へ反映する
例として、月末残高の予測が500万円、実績が380万円なら、差異はマイナス120万円です。
内訳が「入金の翌月ずれ80万円」「継続的な外注費増加30万円」「返済額の入力漏れ10万円」なら、次月以降は入金予定を80万円移し、外注費を毎月30万円増額し、返済予定を正しく反映します。差異の合計は、80万円+30万円+10万円=120万円です。
このように原因別に分けると、売上目標だけを変更するのではなく、入出金の時期と継続的な前提を修正できます。
毎月の更新では、次の順番で進めます。
・通帳から当月実績を確定する
・予測との差を入金、支払い、借入・返済へ分ける
・一時的な差と継続する差を区別する
・次月以降6〜12か月の残高予測を更新する
ココナラでは、銀行提出用の資金繰り表作成を承っています。直近3〜6か月の実績と今後12か月の予測を整理し、金融機関へ説明しやすい形に整えます。資料がすべてそろっていない場合も、購入前にサービスページからご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、融資・資金調達・業績改善などの結果を保証するものではありません。税務・会計・法務の個別判断は、内容に応じて税理士等の専門家へご確認ください。
参考
・J-Net21「資金繰り表って何ですか?また、どのようにして作成するのですか?」
・日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」