「銀行から、直近の試算表と今後の資金繰り表を提出してくださいと言われた」
このとき、試算表の数字をそのまま資金繰り表へ写しても、銀行が確認したい将来の返済余力や資金不足の時期は説明できません。利益と現金は、売掛金の回収時期、仕入や経費の支払時期、設備投資、借入と返済などによって動き方が異なるためです。
試算表は経営成績と財政状態を確認する資料、資金繰り表は現金の出入りと将来残高を確認する資料です。今回は、二つの資料をつなぐための4つの確認を整理します。
1.試算表の対象期間と確定状況を確認する
最初に、試算表が何月まで確定しているかを確認します。売上や仕入が未計上のまま、減価償却や税金の見込みも反映されていない月次試算表では、資金繰りの出発点も不安定になります。
試算表では、売上高、売上総利益、営業利益、売掛金、買掛金、借入金などを確認します。ただし、試算表上の現預金と通帳残高が必ずしも一致するとは限りません。未記帳の引落し、入金処理、口座間振替などが残っていないかも確認します。
銀行へ提出する前に、「何月まで確定している資料か」「暫定値が含まれるか」を説明できる状態にしておくことが大切です。
2.売上と費用を実際の入出金月へ置き換える
次に、試算表の売上を売掛金の回収予定月へ、仕入や外注費などを実際の支払予定月へ置き換えます。
たとえば、月次利益が100万円でも、売掛金が前月より180万円増え、借入元金を30万円返済した場合、ほかの条件を考えない単純な例では、現金への影響は100万円-180万円-30万円=マイナス110万円です。黒字でも現金が減ることがあるのは、この時間差と損益外の支出があるためです。
取引先別の入金予定、仕入先別の支払予定、給与、社会保険、税金、家賃、カード引落しを月別に並べます。
【図】試算表と資金繰り表をつなぐ4ステップ
3.借入、返済、設備投資を分けて反映する
借入金の入金と元金返済は、損益計算とは別に資金繰り表へ反映します。支払利息は費用ですが、元金返済は費用ではないため、試算表の利益だけを見ても返済後の残高は分かりません。
設備投資も同様です。減価償却費は複数年に分けて費用化されますが、設備代金は購入時や分割条件に応じて現金が出ていきます。返済予定表、設備の見積書、支払条件を確認し、経常収支と財務収支を分けて整理します。
4.今後6〜12か月の残高と説明事項をまとめる
最後に、直近の実績を起点として、今後6〜12か月の入金、支払い、借入、返済を反映します。
銀行が知りたいのは、表が埋まっているかだけではありません。残高が最も低くなる時期、その原因、不足が見込まれる場合の対応、借入後に返済を続けられる根拠を説明できるかが重要です。
売上増加を前提にする場合は、受注済み、商談中、過去実績からの予測など、確度を分けます。未確定の融資は確定入金と同じ扱いにせず、実行時期がずれた場合の残高も確認します。
提出前にそろえたい5つの資料
・直近の月次試算表
・主要口座の通帳または入出金明細
・売掛金と買掛金の一覧
・借入金の返済予定表
・今後の大型入金、納税、賞与、設備投資などの予定
資料がそろっていなくても、まず不足項目を一覧にすれば、何を確認すべきか明確になります。試算表の実績を入出金時期へ置き換え、借入と返済を加えることで、銀行へ説明できる資金繰り表へつながります。
ココナラでは、銀行提出用の資金繰り表作成を承っています。直近3〜6か月の実績と今後12か月の予測を整理し、金融機関へ説明しやすい形に整えます。資料がすべてそろっていない場合も、購入前にサービスページからご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、融資・資金調達・業績改善などの結果を保証するものではありません。税務・会計・法務の個別判断は、内容に応じて税理士等の専門家へご確認ください。
参考
・J-Net21「資金繰り表って何ですか?また、どのようにして作成するのですか?」
・日本政策金融公庫「資金繰り表(記入例)」