junction ~わたしの人生を変えたこと㉒~

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コラム
~㉑からのつづき~

4年2か月ものあいだ原因がわからなかった不思議な症状がついに大きな進展をむかえました。


偶然に視聴した動画から情報を得て、脳神経内科の先生の診察を受けるのです。


その頃、なぜか両手両足同時におこった腱鞘炎。


両手に装具、足元にはソールの厚いスニーカーを履いていました。


それでも、痛みやシビレがひどく夫の手助けはありがたかったものです。


通いなれた大学病院の慌ただしい印象とちがい、この神経内科の病院は時間が静かに流れているようでした。


3時間くらい待ったでしょうか。


ようやく通された診察室では、受診のきっかけとなったあの動画に出演されていたお医者さんが迎えてくれました。

前日に支度した各検査結果、経過表、薬手帳を見せながらあの日から今日までのことをお伝えしました。


既往歴や家族歴、誤診のことや精神科のお薬が合わなかったこと、そして自己判断で断薬したこともすべて…。


小さくうなづき、電子カルテに打ちこみながら聞いてくださいました。


先生「言葉がでないことがあるでしょ?献立も決められない…?
自己注射を減らしてから悪くなったでしょ?」


いくつかの質問をしながら、大学病院で撮った頭部MRIや脳血流検査の読影レポートに目を通していました。


しばらくして、こちらに向き直ると


先生「症状や経過をお聞きして、自己免疫疾患の既往もあるので、ほぼこの病気に間違いないと思います。」


やっと分かったのか、そうか…4年間長かったな。


”やっぱり”という気持ちと『原因不明のループ』から突然ぬけだした驚き。


ひどくボーっとする頭で先生からの説明を聞いていました。


先生「自己注射をもとの量にもどしつつ、神経内科からもお薬を出していきましょう。」

先生の説明によると
・この病気は自己免疫疾患の特徴をもち、膠原病と同じように女性が多い
・感染症をきっかけに発症することが多い
・特にウイルス性呼吸器感染症のあとに見られる
・体内に入ったウイルスと戦うために抗体が造られ、その抗体が自分の脳神経細胞を攻撃してしまう
・この影響で痛みや倦怠感や疲労感、その他たくさんの症状を表す


わたしも、不思議な症状として感じていたものは多くありました。

・洗濯機の操作ができない
・献立が決められない
・文章理解力の低下
・短期記憶の問題

これらは、高次脳機能障害であること。


・視界がゆがんで見えること
・まぶしくて室内でもサングラスを使用したり照明を消して生活するのは光過敏症であること
・頭がボーっとして考えがまとまらないこと
・ひどい倦怠感や疲労感

これらも、この病気の症状と教えていただきました。


それらの症状に合わせて数種類の内服薬を処方してもらいました。


膠原病内科の川本先生宛てには、
「神経内科の病気に注射が効いていたので生物学的製剤の自己注射の量を戻してください。」

とお手紙を書いてくださいました。


先生「じゃあ、これから治療していきましょう。」


「ありがとうございました。」


お礼を言った夫の声は明らかに涙に潤んだ声でした。


驚いた先生が夫をふり返ります。


「ずっとずっと、どこに行っても分からなくて…。」


大きな体で男泣きするので、照れくさくなってしまいわたしの涙はピタリと止まりました。


診察室を出るころには、1時間以上が経っていました。


こんなにもじっくりと診察をしてもらったことはありません。


会計を済ませて薬局で薬を受け取ると、もう体力は残っていませんでした。


シャワーを軽く済ませると横になり、目を閉じて考えていました。


いろんなものを手放した4年間だった。


何度も泣いて、何度もあきらめそうになった。


健康な誰かを妬んだり、うらやんだりした。


痛みと不安につぶれそうだった。


家族の負担になりたくなかった。


真剣に死を考えたこともあった。


あきらめなくて良かった…今日につながる道だったんだ…


考えていたら、いつに間にかウトウト眠っていました。


「できたよー!」


夫の呼ぶ声で目を覚ますとテーブルには夕飯ができていました。


その日の晩ごはんは、夫が揚げた買い置きの冷凍イカフライとカットサラダという簡単なものでした。


この時は2020年6月16日。


世界中で猛威を振るった感染症。


それに対する緊急事態宣言が解除されたばかりの頃でした。


世界各国が不安に包まれるなか、我が家にはひさしぶりに平和な時間が流れていました。



《今回のブログを書くにあたって》
わたしの場合は有り難いことに居住地域に研究リーダーの先生の勤務する病院がありました。
たまたま運がよく、4年の月日を経て診断をしていただきました。
お住まいの地域によっては何年も治療を受けられないでいる同病の患者さんが大勢いらっしゃいます。
今回のブログに診断名を公表するべきかとても悩みました。
現在でもこの病気を正しく診断できる専門医は少なく、日々の診察や研究に手いっぱいの状態であると聞きました。
診断名を書くことで万が一にも先生にご迷惑がかかると申し訳ないと思い、診断名を伏せたかたちで書くことにいたしました。
このように決断したことをご理解くださいますようお願いいたします。
この病気に限らず、病気やけがと戦っている方、まだ診断のつかない症状に苦しんでいる方がいらっしゃると思います。
すべての皆様に一日も早く心身の平和が訪れますように祈っています。

~㉓へつづく~
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