飲食店のデザインに関わっていると、よくこんな場面に遭遇します。
「ロゴはこのA案がいいですね」「メニューはB案で」「内装はC案でお願いします」
お客様がそれぞれのデザイン案を選んでいる時、私たちはいつも少し心配になります。なぜなら、バラバラに選ばれたデザインを組み合わせると、お店全体の魅力がぼやけてしまうことが多いからです。
これって、まるで違うブランドの服を適当に組み合わせて着ているようなもの。一つ一つは素敵でも、全体で見ると「なんだかちぐはぐ」な印象になってしまうんです。
デザインの前に、まず「軸」を決める
私たちがお客様にいつもお伝えしているのは、「デザインの前に、お店のコンセプトを言葉にしましょう」ということです。
要するに、「誰に、何を伝えたいか」という軸を最初に決めるってことですね。
例えば、「忙しい子育てママに、ホッと一息つける時間を提供したい」というコンセプトがあったとします。そうすると、ロゴは温かみのある手書き風フォント、メニュー表は見やすくて優しい色合い、店内のタペストリーやテーブルクロスも落ち着いた雰囲気に...といった具合に、すべてのデザインが自然と同じ方向を向くようになります。
これが、私が「コンセプトファースト」と呼んでいる考え方です。
なぜコンセプトが決まるとファンが増えるのか
コンセプトが明確になると、不思議なことが起こります。お店のファンが自然と増えていくんです。
理由は簡単。お客様が「このお店は私のことを分かってくれている」と感じるからです。
のぼりやショップカード、チラシまで、すべてが一貫したメッセージを発信していると、お客様の心に「このお店らしさ」がしっかりと刻まれます。そして、その「らしさ」に共感してくれる人たちが、リピーターになってくれるんですね。
逆に、コンセプトがバラバラだと、お客様は混乱してしまいます。「結局、このお店は何がウリなの?」「私にとってどんな価値があるの?」という疑問が残ったまま、なんとなく足が遠のいてしまう。
実際のお店づくりで大切にしていること
私たちがデザインをお手伝いする際は、必ず最初にコンセプトを一緒に考えることから始めます。
「どんなお客様に来てほしいですか?」「お客様にどんな気持ちになってほしいですか?」「他のお店との違いは何ですか?」
こうした質問を通して、お店の軸を見つけていく作業です。時間はかかりますが、ここがしっかりしていれば、その後のロゴデザインもメニュー表も、SNS用の画像も、すべてが自然と統一感のあるものになります。
まずは一度、立ち止まって考えてみる
もしいま、お店のデザインで悩んでいるなら、一度立ち止まって考えてみてください。
「うちのお店は、誰に、何を伝えたいんだろう?」
答えが見つかれば、デザインの方向性も自然と見えてくるはずです。そして、その軸がブレなければ、きっとお店のファンも増えていくと思います。
デザインは見た目を良くするためだけのものではありません。お客様とお店をつなぐ、大切なコミュニケーションツールなんです。だからこそ、何を伝えたいかを最初に決めることが、結果的に一番の近道になるのかもしれませんね。