新しいドライヤーが「怖い」? ASD息子の反応に戸惑った出来事

新しいドライヤーが「怖い」? ASD息子の反応に戸惑った出来事

記事
コラム
先日、長年使っていたドライヤーが壊れてしまいました。

夫が独身時代から15年以上使っていたものだったので、
「ついに寿命か」と思い、新しいドライヤーを購入。


「今までより早く乾くかな」

そんな軽い気持ちで使い始めました。

私の息子は、知的障害を伴う自閉症スペクトラム(ASD)の5歳です。

発語はほとんどなく、意思疎通も難しい息子。

いつものようにお風呂から上がり、保湿を終えると、息子は私の膝の上へ。

そして、いつも通り髪を乾かそうと、新しいドライヤーのスイッチを入れた瞬間でした。


息子がビクッと体を震わせ、そのまま走って逃げてしまったんです。

「えっ、どうしたの?」

今までドライヤーを嫌がったことなんてありませんでした。

どうして急に怖くなってしまったんだろう。

今回は、新しいドライヤーをきっかけに気づいた、
息子の「苦手」についてのお話です。

いざ、新しいドライヤーで髪を乾かそうとしたら

今回購入したのは、以前使っていたものより風量が強く、
早く髪が乾きそうなドライヤーでした。

色は娘のリクエストで赤色に。

お風呂に入る前、いつものようにリビングのテレビの近くにドライヤーを置いておくと、息子が近づいてきました。

そして、新しいドライヤーをじーっと見つめています。

「なんだこれ。見たことないぞ」

そんな表情で、不思議そうに眺めていました。

「新しいドライヤーだよ」

私は特に気にすることもなく、そのままお風呂へ。

お風呂から上がると、いつも通り保湿を済ませます。

そして、髪を乾かす時間。

息子はいつものように、私の膝の上にちょこんと座りました。


私は、

「風量も強そうだし、今日は早く乾きそうだな」

なんて考えながら、新しいドライヤーのスイッチを入れました。

ブォーーーン……

その瞬間です。

息子がビクッと体を震わせ、私の膝から勢いよく飛び降りました。

そして、一目散に走っていったんです。

「えっ、どうしたの?」

慌てて息子を見ると、部屋の隅まで逃げています。

そして、新しい赤いドライヤーをじっと見つめていました。

その表情は、今にも泣き出しそうなくらい怯えていて。

私は、

「大丈夫だよ。いつものドライヤーだよ」

と声をかけました。

でも、息子はその場から動こうとしません。

そこで初めて思いました。

「もしかして、このドライヤーが怖いの?」


どうして怖いのか、息子に聞けない

部屋の隅まで逃げてしまった息子。

何度「おいで」と声をかけても、こちらに来てくれません。

でも、このままでは髪を乾かすことができません。

しかも、家にあるドライヤーは新しく買ったこの1台だけ。

どうしよう。

悩んだ末、夫に息子を抱っこしてもらい、なんとか髪を乾かすことにしました。

娘も心配そうに、

「にいたん、大丈夫だよ。ドライヤーだよ。赤くてかわいいね」

と、一生懸命声をかけてくれました。

息子は嫌がっていましたが、少しずつ落ち着きを取り戻し、
なんとか最後まで髪を乾かすことができました。

ホッとした反面、私の頭の中は疑問でいっぱいでした。

「どうして、こんなに怖がったんだろう」

息子は5歳ですが、発語はほとんどありません。

理由を聞きたくても、聞くことができないんです。

もしかすると、風量が強くなって音が大きくなったから?

いつものドライヤーとは音の高さが違ったから?

それとも、赤色という見た目に戸惑ったのかな?

いろいろ考えてみました。

でも、結局答えは分かりません。

「明日は怖がらずに使えるといいな」

そんなことを思いながら、その日は眠りにつきました。

次の日はどうだった?

そして翌日。

また、いつものようにお風呂に入り、髪を乾かす時間がやってきました。

「今日はどうかな」

昨日はなんとか最後まで乾かせたし、一晩寝たら少し慣れてくれているかもしれない。

そんな小さな期待を抱きながら、ドキドキしてドライヤーのスイッチを入れました。

ブォーーーン……

すると。

昨日と全く同じでした。

息子は体をビクッと震わせると、一目散に部屋の隅へ。

「やっぱりダメか」

思わず、そう声が出てしまいました。

結局、この日も夫に手伝ってもらい、昨日と同じように髪を乾かしました。

正直、私は理由が知りたかったんです。

「何が怖いの?」

「音?」

「風?」

「色?」

息子は発語がほとんどないため、その理由を聞くことはできません。

私たちにとっては何ともないことでも、息子にとっては、
とても怖いことだったのかもしれません。

「何が嫌だったの?」

その一言が聞けたら、どんなに気持ちが楽だっただろう。

そう思わずにはいられない出来事でした。

ASDの子どもの「苦手」は、親にも分からないことがある

今回の出来事を通して、改めて感じたことがあります。

ASDの子どもたちは、私たちには想像もできないようなことを感じているのかもしれない、ということです。

私には同じ「ドライヤー」でも、息子にとっては、
まるで別のものに見えたり、聞こえたりしていたのかもしれません。

理由を聞きたくても聞けない。

だからこそ、親は「どうして?」と悩み続けることがあります。

でも、答えが分からないからといって、無理に理由を見つけなくてもいいのかな。

最近は、そんなふうにも思えるようになりました。

「今はこれが苦手なんだね」

「そのうち慣れるかもしれないね」

そんなふうに、息子の気持ちを想像しながら寄り添っていくことも大切なのかもしれません。

ASDの子どもの苦手なことやこだわりは、ある日突然始まることもあります。

そして、いつの間にか気にならなくなっていることもあります。

だから私は、焦りすぎず、一つひとつ息子のペースに付き合っていこうと思います。

さいごに

もし今、お子さんの「なんで?」が分からず悩んでいる方がいたら。

「うちだけじゃなかったんだ」

そう思ってもらえたら嬉しいです。

ASDの子育てをしていると、子どもの行動の理由が分からず悩んだり、
「どうしてあげたらいいんだろう」と一人で考え続けたりすることがあります。

周りから見れば小さな出来事でも、親にとっては心配で仕方がないこともありますよね。

私自身も、息子との毎日の中で「これってどういうことなんだろう」
「誰かに聞いてみたいな」と思うことがあります。

もし今、お子さんのことやASD育児について、
誰かに話を聞いてほしいと思っている方がいたら、
電話相談、チャット相談をしています。

「こんなことで相談していいのかな」と思うような小さな悩みでも大丈夫です。

うまく話がまとまっていなくても大丈夫。

ただ誰かに話を聞いてほしい、という気持ちでも大丈夫です。

一人で抱えていると苦しくなることも、誰かに話すことで少し気持ちが軽くなることがあります。

よかったら、お話ししませんか。

あなたの気持ちを、ゆっくり聞かせてくださいね。

ちなみに、数日経った今でも、新しいドライヤーは息子から絶賛「敵認定」されています。

いつか、無事に「味方認定」される日が来るといいなと思っています。


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