今回は♯002で紹介した「身に着けておくと得する(差が付く)スキル」の英語スキルの有効性について簡単に説明させていただきます。
【有効性】
有効性は主に下記の3つになります。
■英語論文の読解
研究室に配属されると、英語論文を読む機会が大幅に増加します。これは、自身の研究テーマに関連する情報を収集する際に、英語論文が主要な情報源となるためです。また、世界中の研究成果は英語論文の形式で発表されることが一般的であり、英語論文を読解できるか否かで、得られる情報の量と質に大きな差が生じます。
確かに、近年は翻訳アプリや生成AIの精度が飛躍的に向上しており、英語を学ばなくても英語論文を理解できるという意見もあるでしょう。しかし、理系分野で使用される専門用語を含む英語論文では、訳が異なる場合も多く、その正否を判断するためには一定の英語力が不可欠です。
実際に、翻訳ソフトの直訳をそのまま受け入れ、誤った解釈のまま読み進めた結果、不正確な知識が定着してしまうケースを多く目にしてきました。特に、私自身は化学を専攻していたため、些細な解釈の違いが合成の成功可否に直結し、実践的な問題に直面した経験もあります。
以上の理由から、基本的な英語読解力は理系学生にとって不可欠なスキルであるといえます。特に、基礎的な英単語や5文型程度の文法知識は、最低限身につけておくことを強くお勧めします。
■国際学会への参加
少しレベルの高い話にはなりますが、研究室に配属されると国際学会に参加する機会を得る可能性があります。国際学会とは、その名の通り国際的な学会であり、英語で自身の研究内容を発表する場です。このような場に参加できる理系大学生は全体の中でもごく一部であり、もし参加することができれば、それは確実に自身の財産となるでしょう。また、この希少な体験は就職活動においても大変ポジティブな評価を得ることが期待されます。
ただし、研究室が国際学会への参加を推奨しているかどうか、あるいは学会の開催時期などの要因によって、そもそも参加の機会がない場合もあります。仮にそのような貴重な機会に恵まれた場合、十分な英語力が備わっていないと、自信を持って挑戦することが難しくなってしまうでしょう。また、国際学会では全員が参加できるわけではなく、研究室内で参加者が限られる場合もあります。
そのため、こうしたチャンスが訪れた際に自信を持って臨むためにも、英語力を鍛えておくことが重要です。発表については事前に原稿を作成すれば対応可能かもしれませんが、国際学会では質疑応答が求められます。そのため、基本的なリスニング力と簡単な英会話力は必要不可欠です。
この話を聞いて、国際学会に参加することに不安を感じる方もいるかもしれませんが、過度に心配する必要はありません。事前に疑問文のパターンや質問への受け答えの方法、自身の研究に関する専門用語を重点的に準備しておけば、あとはその構文(パーツ)に当てはめて対応することで十分に乗り越えられます。
さらに、普段から英語力を高めておくことで、特別な準備が必要なくなる点も大きなメリットです。そのため、時間がある今のうちに英語学習を進めておくことを強くお勧めします。
将来の自分のために、ぜひ今日から英語の勉強を始めてみましょう!
■就職の幅が広がる・有利に展開できる
単純に英語力が高いことで就職の選択肢が広がるだけでなく、グローバル化が進む現代において、英語力は就職活動においても高く評価されます。また、TOEICの点数が一定以上でなければエントリーができない企業も存在するため、英語力を向上させておくことは就職活動において大きな武器となります。
さらに、就職後も語学手当が支給される場合があります。例えば、語学手当が月1万円支給される企業では、年間で12万円、40年間勤務すると合計480万円の差が生じます。また、月2万円の語学手当がある企業では、その倍の960万円もの差となります。このように、英語力の有無が生涯収入に与える影響は極めて大きく、場合によっては1,000万円近く変わることもあるのです。これを考えると、英語を学ばない理由は見当たりません。
以上の理由から、英語のスキルは理系大学生にとってキャリアの幅を大きく広げるだけでなく、将来的な収入にも大きく影響を与える、非常にコストパフォーマンスの良いスキルであると言えます。英語力は間違いなく、将来あなたを助ける強力な武器となるでしょう。
この記事を読んだ今この瞬間から、少しずつでも英語の勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
【結局どうやって勉強したらいい?】
下記に理系大学生の英語勉強法について説明します。
■TOEICの勉強
基本的にはTOEICの学習が有効です。TOEICは、ビジネスシーンで英語を使用する方々が自身の英語力を測定するための試験です。一見すると、ビジネス英語と理系論文の英語は大きく異なるように思われるかもしれませんが、どちらもフォーマル(正式)な英語を使用するため、共通している単語や表現が多く見られます。
つまり、理系論文は「専門用語+ビジネス英語」の組み合わせで構成されていることが多いのです。そのため、TOEICの勉強を通じて自然と論文読解力を養うことができます。また、日本における就職活動では、TOEICスコアが英語力の指標として用いられることが一般的です(※海外での進学や大学院入試ではTOEFLやIELTSが使用される場合が多いですが)。TOEICの学習は、研究室配属後のスキル向上だけでなく、就職活動にも直結するため、非常に効率的で一石二鳥と言えるでしょう。
初めて英語学習に取り組む場合、まずはTOEIC600点を目標にすることをお勧めします。このスコアは基本的な英語力を証明する指標であり、履歴書にも記載可能な水準とされています。まずはこの点数を目指し、基礎的な英語力を着実に身につけていきましょう。
■理系単語
前述の通り、理系論文は「専門用語(理系単語)+ビジネス英語」の組み合わせで構成されています。そのため、理系単語、つまり皆様が取り組む研究分野の専門用語については、ご自身で学習を進める必要があります。しかし、これらの専門用語の学習は、研究室に所属し、研究テーマが具体的に決まらない限り進めづらいという側面もあります。
そのため、まずは自分の専攻分野に関連する大まかな領域の学習から始めることをお勧めします。たとえば、数学、物理学、化学、生物学、地学、情報学など、自身の専門分野で頻出する単語を重点的に学ぶと効果的です。具体的には、大学院入試向けの単語集の活用を推奨します。それぞれの分野で大学院入試を想定した単語集が出版されていることが多いため、これを活用することで効率的に学習を進めることができます。
さらに、これらの単語集を用いた学習は、大学院入試対策にもつながります。そのため、研究室での活動に役立つだけでなく、進学準備としても有効であり、一石二鳥の学習方法と言えるでしょう。
■おまけ
ここからは、時間に余裕がある方を対象とした、追加の学習方法をご紹介します。大学での単位取得などで忙しい方も多いと思いますが、もし実践する余裕があれば、他の学生と一歩、あるいは二歩差をつけることができるでしょう。
・英会話
これまで主に読解力に焦点を当てた学習方法をご紹介してきましたが、せっかく英語を学ぶのであれば、話せるスキルを身につけることができれば一層の価値があります。このスキルは、国際学会での発表や将来的なキャリアにおいても非常に役立つでしょう。
現在では、多様なオンライン英会話サービスやAIを活用した会話練習サービスが利用可能です。自分に合った方法を選択するのがおすすめです。具体的には、まずAIと会話ができるサービスを活用し、英語での表現に慣れてからオンライン英会話を検討すると良いでしょう。これは、英語に不慣れな状態でオンライン英会話を始めると、スムーズに言葉を発するのが難しく、効果的に受講時間を活用できない場合があるためです。また、講師が一方的に話すだけで終わってしまい、受講者が英語を使う機会を得られないケースも少なくありません。私自身もこのような経験があります。そのため、オンライン英会話に取り組む際には、具体的な目標を設定し、効率的な活用を目指しましょう。
自信がない方や、まずは気軽に始めたい方には「独り言英語」から取り組む方法を推奨します。たとえば、日記のようにその日の出来事を英語で振り返ったり、好きなものについて外国人に紹介するつもりでテーマを決めて話す練習を行うと良いでしょう。これにより、自分の考えを英語で整理し、発する練習が自然と身につきます。
何より大切なのは、英語のアウトプットを始めることです。最初は恥ずかしさを感じるかもしれませんが、一歩を踏み出した人が最終的に大きな成果を得るものです。少しずつでも構いませんので、英語を使って発信する機会を意識的に設けてみてください。
・短期留学
筆者も、過去に約2週間の短期留学を経験したことがあります。この経験を通じて、英語力の向上はもちろん、英語を話す心理的なハードルが大幅に下がりました。読者の皆さまもお気づきかもしれませんが、日本人が英語を話す際の最大の障壁は、心理的な抵抗感にあります。しかし、2週間にわたり日本語を使わず、英語だけで生活する環境に身を置くことで、自然と英語が不可欠になり、この抵抗感が徐々に薄れていきます。特に2週間目の半ば頃には、英語を話すことへの抵抗が不思議と消え、自信を持って会話できるようになりました。
この経験は現在の業務にも大いに役立っており、外国人とのミーティングでも積極的に発言できるようになっています。心理的な障壁を取り払うという成果は、一生の財産となるものであり、時間と費用に余裕がある方には、ぜひ短期留学をおすすめしたいと考えています。(※もちろん、可能であれば長期留学の方がより効果的です。)
〇短期留学に行く際の注意点
短期留学を検討される際には、いくつか意識すべきポイントがあります。その中でも特に重要なのは、可能な限り日本語を使わない環境に身を置くことです。例えば、日本人が多い語学学校を選んでしまうと、つい日本語を話す機会が増え、留学の効果が薄れてしまいます。これでは、オンライン英会話と大差ない結果になりかねません。したがって、受け入れ先を選ぶ際には、日本語を使う機会が極力少ない環境を提供している機関を選ぶことを強く推奨します。
具体的には、友人と留学する場合でも部屋は個室を選ぶ、日本語サポートカウンターがあっても、まずは英語で対応してもらえるシステムを備えた受け入れ先を検討すると良いでしょう。
私の場合、1日7時間(土日は休み)の英会話授業を受講し、夕食時には講師と共に過ごすことで、徹底的に日本語を使わない環境を整えました。その結果、短い2週間ではありましたが、自分を大きく変えるには十分な時間だったと感じています。この経験を通じて、短期間でも充実した成果を得られることを実感しました。
もし、留学に関する体験談や具体的なアドバイスをご希望の方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
時間・費用・意欲の3つが揃っている方には、ぜひ一度短期留学を経験されることを強くおすすめします。短期間で大きな経験を積むことで、自身の成長と将来への自信を得られるはずです。ぜひこの機会に、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】
私自身、高校生の頃は英語が全くできませんでした。それどころか、「理系だから英語は必要ない」と考え、英語を勉強すること自体を時間の無駄だと思っていたほどです。しかし、大学に進学してから、その考えが大きく変わりました。実際には、理系こそ英語をフル活用する場面が多いのです。言語学系の文系を除けば、理系の方が英語を使用する機会が多いと言っても過言ではありません。この事実に気づいたとき、英語に苦手意識を持っていた私は大変悩みましたが、早めに気づいて対策した結果、数多くの成果を得ることができました。
この記事をご覧の現役世代の皆さまには、ぜひこの事実に早く気づいていただきたいという思いで、私の経験を共有させていただいています。研究室に配属されると、やらなければならないことが一気に増え、同時並行で様々なスキルを習得するのは難しくなります。そのため、事前に優先度の高いスキルを身につけておくことで、研究室配属後の研究活動に専念できる環境を整えていただきたいと考えています。
これは、少し先を歩んだ先輩からのアドバイスとして受け取っていただけると幸いです。将来のために積み重ねた小さな努力は、必ずや大きなリターンとなって返ってきます。本当に少しずつで構いませんので、今できることから始めてみましょう。
今後も皆様の役に立つ情報を発信していく予定ですので引き続きご一読いただけますと幸いです。
皆様のひたむきな努力が、いつか必ず最高の形で報われますように。